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家カフェ注文住宅【2024年11月版】

住宅ローンで必要な頭金はいくら?頭金ゼロが多い?

住宅購入と頭金

住宅など高価な買い物をする際にはローンを組むのが普通です。

ただ、全額ローンというのは稀で、購入代金の一部を現金によって支払うのが一般的です。この現金の部分を頭金と呼んでいます。

さて、住宅を購入する場合にはある程度の現金(自己資金)が必要になりますが、この自己資金の全額を頭金として使うことはできません。

住宅を購入する際には各種税金や手数料などが発生し、これらは原則現金での支払いが求められます。よって、頭金として使えるのは、自己資金から諸費用を差し引いた残りになります。

手付金と頭金

手付金は住宅購入代金の一部を現金で支払うもので、頭金の一部です。

手付金は売買契約タイミングで支払うもので、購入代金の5~10%が相場です。購入を約束するための費用のため、手付金支払い後、買い主都合でキャンセルした場合、手付金は返ってきません。

頭金の相場

家を建てるために準備してくべき頭金はいくらぐらいなのでしょうか?
一般論としては、住宅価格の2割がベターだと言われています。

2017年にリクルート住まいカンパニーが調査したデータによると、住宅購入時の頭金比率は以下のようになっています。

0%:11.2%
5%未満:21.4%
5%~10%未満:13.3%
10%~15%未満:12.3%
15%~20%未満:7.6%
20%~25%未満:6.3%
25%~30%未満:3.8%
30%~40%未満:5.6%
40%~50%未満:3.0%
50%~100%未満:3.8%
全額キャッシュ:7.4%
不明:4.2%

頭金比率の平均は20.5%と、実際の比率も言われている通りの割合になっています。
ただ、0%~15%未満の頭金で購入する人が半数以上を占めており、2割以下の頭金で家を購入している人は想像以上に多いです。

ちなみに、金額別に頭金比率を見ていくと次のようになります。

200万円未満:28.9%
200~600万円未満:21.8%
600万円~1000万円未満:10.6%
1000万円~1500万円未満:11.8%
1500万円以上:22.8%
不明:4.2%

頭金の平均は1214万円です。

平均だけ見ると「こんなにお金を用意しなければならないの?」と驚いてしまうかもしれませんが、これは頭金をたくさん準備できる人が平均を引き上げているため。

実際は600万円未満が半数を占めています。

頭金ゼロでも家は買えるが・・・

最近は広告などで「頭金ゼロでOK」と書かれている物件を多く見かけるようになりました。実際、先程紹介したデータでも頭金0%の人が11.2%もいます。

頭金ゼロということは、住宅購入費全てを住宅ローンで賄うということです。頭金ゼロに対応した住宅ローンもどんどん増えています。あまり貯金がない人でもマイホームを手に入れるチャンスがあるのです。

ちなみに、新築物件なら物件購入費の100%をローンでカバーできますが、中古住宅の場合は注意が必要です。

なぜなら、銀行が融資できるのは担保評価額の100%までの金額だからです。

住宅購入費が担保評価額よりも高い場合、全額をローンで払うことはできません。

頭金ゼロのリスク

仕組みとしては頭金ゼロでも住宅購入できますし、実際に頭金なしで家を買っている人もいます。しかし、頭金ゼロはリスクが高く、強く勧められるものではありません。

●毎月の返済額と支払う利息が多くなる
頭金が少ないということは、借入金額が増えるということ。支払う利息も多くなります。

では、4000万円の物件を1.4%35年ローンで購入するケースで考えてみましょう。
頭金0円の場合は4000万円の借り入れ、月の返済額は約12万500円、総支払額は約5062万円になります。
これが頭金400万円(住宅購入費の1割)になると、毎月の返済額は約10万8000円、総支払額は4956万円ほどになります。
平均にあわせて頭金800万円(頭金比率2割)にした場合は、毎月約9万6000円の返済、総返済額が約4850万円になります。

頭金ゼロと2割では総返済額は200万円ほど違うことになります。
毎月の返済額の違いにも注目です。月12万円の出費と月10万円の出費では家計への負担がまるで違います。

●頭金比率で金利が変わることも
さらに、頭金の割合によって金利が変わる住宅ローンがあることにも注意が必要です。
借入金額が多く、自己資金の少ない頭金ゼロの借り入れは金融機関にとってもリスクの高い融資です。金利を高めに設定し、安易な借り入れを防いだり、リスクに備えたりしています。

例えば、フラット35では頭金1割以上と1割未満では金利に0.44%ほどの違いがあります。ここで、先程の例と同じく返済額を計算してみましょう。
4000万円の物件を頭金ゼロ、金利1.84%(1.4+0.44)、35年ローンで購入する場合、毎月の返済額は約12万9000円、総支払額は5429万円になります。
先程は頭金2割と200万円ほどの違いでしたが、今度は600万円近い差となりました。流石に無視できない金額です。

●返済が長期化しやすい
高額なローンを無理のない負担で返済しておこうとすると、どうしても返済は長期間になりがちです。
返済が長くなれば家計を圧迫する期間が長期化するだけでなく、売却時の値下がりリスクも大きくなります。

やむを得ず転居や返済困難でローン返済中の物件を売却する場合、残りのローン残高を売却分で支払うことになります。この時物件価格が値下がりし、ローン残高に足りないと、家を売り払った後もローンを払い続けることになってしまいます。
特に戸建住宅の値下がりスピードは早く、20年~30年で建物の価値はほぼゼロになってしまいます。土地の価格は残りますが、残高によっては売却額でカバーしきれるかどうか分かりません。

ではここで、頭金割合別に10年後の残高をシミュレーションしてみましょう。
同じく4000万円の住宅を35年ローンで、金利は頭金ゼロのみ1.84%、それ以外は1.40%とします。
この時、頭金ゼロでは残債約3107万円、頭金1割では約2745万円。頭金2割では2440万円となります。物件の価値が10年で3分の2になったと仮定すると、売却価格は約2667万円。頭金1割でもギリギリ赤字、頭金ゼロの場合は400万円以上の赤字になってしまいます。

頭金ゼロでも現金は必要

もう一つ注意しておいて欲しいのが、頭金ゼロの物件でもある程度現金は必要ということです。
最初に少し説明したように、住宅購入には現金での支払いが必須な諸費用がいくつもあります。

住宅購入時に必要となる諸費用の種類と金額を大公開

まず、既に説明した手付金。契約時の支払いが必要で、物件価格の5~10%です。

契約時に払うものということは、ローンを組む前に支払うということです。

頭金ゼロで購入する場合、ローン実行後に手付金相当額は返ってきますが、一時的に手付金を支払えるだけの余力は必要です。

住宅ローンを組むのにもお金がかかります。事務手数料や保証料には数十万円かかります。不動産会社などが仲介した物件では仲介手数料も必要です。
不動産を取得した際にかかる税金や、登記にかかる費用などもあります。
さらに、転居のための引っ越し代、新しい住まいに合わせた家具家電の購入費なども忘れてはいけません。

こうした諸費用は、新築マンションなら物件価格の3~5%、戸建住宅なら物件価格の6~8%、注文住宅では10%ほどかかるとされています。
4000万円の注文住宅なら400万円の諸費用ということになります。

諸費用を住宅ローンと同じように借りられる金融機関もあるものの、ただでさえ頭金が少なくリスクの高い借り入れをしているのですから、これ以上無理をするのはやめておくべきでしょう。

また、貯金全てを住宅購入に費やしてしまうのも危険です。
ローンを組めば毎月返済が必要となり、これまでより計画的なやりくりが必要になります。怪我や病気、災害などで一時的に返済が困難になってしまったり、生活費が得られなくなってしまったりした時のために、ある程度の貯金は残して起きましょう。一般的には生活費の半年分~1年分の貯蓄があると良いとされています。

貯金をしているうちに金利が上がってしまったら?

頭金を増やすには、家を買うのをしばらく我慢して貯金をするほかありません。

ただそうなると気になるのが、貯金をしている間に金利が上がってしまうのではないかということ。現在の住宅ローンは超低金利。もたもたしているうちに損をしてしまう心配はないのでしょうか?

では、以下の3パターンに分けて考えてみましょう。

まず、これまでと同じように4000万円の物件を頭金ゼロ、金利1.84%、35年で返す場合。毎月の返済額は約12万9000円、総支払額は約5429万円になります。

次に頭金を400万円まで貯め、物件価格の1割を準備したものの、その間に0.5%金利が上昇してしまった場合。

金利は1.4%(頭金1割以上)+0.5%(上昇分)で1.9%になります。このケースでは、月の返済額は約11万7000円、総返済額は約5331万円になります。

0.5%の上昇なら、すぐに買うより頭金が貯まるまで待ったほうがお得ということになります。

では金利が1%上昇した場合はどうでしょうか。金利は2.40%、毎月の返済額は約12万7000円、総支払額は約5725万円と、頭金ゼロよりも高くなってしまいました。

頭金を貯めている間に金利が上昇して損をするかどうかは、どの程度金利が上がるかによります。ただ現実的に考えると、これから金利が1%急上昇してしまうということは考えにくいです。

頭金と住宅を購入するタイミング

頭金を準備すれば毎月の返済額を抑えやすく、返済時のリスクも低くなります。良いことばかりに思えますが、家を買うタイミングが遅れる場合には注意が必要です。

住宅ローンの返済期間は最長35年ですが、借りる人の年齢によっては長期ローンが組めない場合もあります。順調に返済を続けるためには定期収入が必要、つまり、定年までの期間しか原則住宅ローンは組めません。当然、貯金をするために時間をかければ、それだけ組めるローンも短いものになってしまいます。

転勤や子どもの誕生など、ライフスタイルの変化も家を買うタイミングに影響します。子どもが小学校に上がってしまうと転校を伴う転居はしにくくなります。
いつ家を買うかという問題は、単にお金だけの問題ではありません。これからのライフステージの変化と資産の状況を考えながら、総合的に判断していきましょう。

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