家で使うガスには、グレーのボンベに入ったタイプと地下配管で直接家に供給されるタイプがありますよね。
- LPガス=グレーのボンベ入り
- 都市ガス=配管から直接供給
です。
ボンベ入りのガスは、「プロパンガス」と呼ばれることが多いです。
しかし、都市ガスとの対比として言う場合は、正しくは「LPガス」と言います。
LPガスはLiquefied Petroleum GASの略で、「液化石油ガス」という意味です。
ですが、ここでは分かりやすくするために「プロパンガス」と表記しています。
プロパンガスと都市ガスのコンロの違い
プロパンガスと都市ガスでは、ガスコンロの種類が変わります。
プロパンガスは、常温で圧縮することで液体となり、ボンベで運搬するのに適したガスです。
そのため、都市ガスの配管設備が整っていない土地などにはプロパンガスで供給されます。
都市ガスは「メタン」などの天然ガスが、地中のガス配管の中を通って気体のまま直接供給されるようになっているんです。
そのため、ガスコンロも
- プロパンガス(液体)用に調整されたガスコンロ
- 都市ガス(気体)用に調整されたガスコンロ
と別れているんです。
都市ガスにはさらにガスの種類があり、7つのグループに別れます。
グループごとにガスの原料や標準発熱量が違います。
↓ガスのグループと発熱量の表
都市ガスの種類 | 標準発熱量 |
---|---|
13A | 10000〜1500kcal/㎥ |
12A | 9070〜11000kcal/㎥ |
6A | 5800〜7000kcal/㎥ |
5C | 4500〜5000kcal/㎥ |
L1 | 4500〜5000kcal/㎥ |
L2 | 4500〜5000kcal/㎥ |
L3 | 3600〜4500kcal/㎥ |
ネット通販サイトをよく見るとプロパンガスか都市ガス(グループ)の別が表記されてます。
↓ガスコンロのランキング表示例
表記されていない商品は、販売詳細ページで選択するようになっています。
↓プロパンガスか都市ガスを選択する画面
このようにして、プロパンガス用のガスコンロと都市ガス用のガスコンロを間違えて買ってしまうことを防いでいるんです。
プロパンガスと都市ガスの基本料金・単価の違い
- 1 プロパンガスと都市ガスのコンロの違い
- 2 プロパンガスと都市ガスの基本料金・単価の違い
- 3 プロパンガスと都市ガスのメリット・デメリットは?
プロパンガスと都市ガスでは、基本料金が違います。
気候が温暖で、プロパンガスと都市ガスの割合が平均的な地域である静岡県を例に見てみましょう。
静岡県のプロパンガス基本料金(3人家族)の平均価格は月額1690円、従量単価は503円です。
一方、都市ガスの基本料金の平均は月額820円、従量単価は173円です。
※一般社団法人プロパンガス料金消費者協会調べ
プロパンガスと都市ガスでは、同じ温度の火を起こすのに必要な量が違います。
プロパンガスの火力は都市ガスの約2.23倍です。
つまり、双方を比較するには、都市ガスの従量単価を2.23倍する必要があるわけです。
それを踏まえると、月々の料金比較は以下のようになります。
- プロパンガス=9235円
- 都市ガス=6616円
※1ヶ月にプロパンガスを15㎥使用した場合です。
※都市ガスはプロパンガスとの火力の差をもとに算出した使用量です。
表にまとめますね。
ガスの種類 | 平均基本料金 | 平均重量単価 | 月額料金 プロパンガス15㎥使用時 |
---|---|---|---|
プロパンガス | 1690円 | 503円 | 9235円 |
都市ガス | 820円 | 173円 | 6616円 |
プロパンガスよりも都市ガスの方がずいぶんと料金が安いことが分かります。
両者の料金差の原因は、その供給方法にあります。
プロパンガスはガスをガスボンベに圧縮して詰め、人がトラックで運び、設置します。
さらに、ボンベ内のガスが減ると、新たに満タンにしたボンベと交換します。
こうした作業は、契約が続く限りずっと行わなくてはなりません。
専門の技術者や労働者を雇用して働いてもらわなくてはならず、人件費や経費がたくさんかかる事業形態といえますね。
一方の都市ガスは、地中に埋設したガス管から気体のガスを直接家に供給します。
最初の接続工事にコストが掛かりますが、一度工事してしまえばその後は人件費等は掛かりません。
- プロパンガス=人件費等のランニングコストがかかる
- 都市ガス=当初の工事費以外は低コストで運用できる
こうした違いがガス料金の違いに繋がっているんですね。
プロパンガスと都市ガスのメリット・デメリットは?
- 1 プロパンガスと都市ガスのコンロの違い
- 2 プロパンガスと都市ガスの基本料金・単価の違い
- 3 プロパンガスと都市ガスのメリット・デメリットは?
プロパンガスと都市ガスのメリットとデメリットを見てみましょう。
プロパンガスのメリット・デメリット
プロパンガスのメリットですが、プロパンガスはボンベに詰めた液体ガスを供給しますから、契約後のガス管引込み工事費がかかりません。
そのため、使用開始までの日数も短いです。
さらに、最も重要なメリットとしては、災害時にも復旧が早いということが言えます。
大地震があった場合に、プロパンガスのボンベが倒れてしまうこともあると想定できますが、起こして接続し直せばすぐに使えるんです。
非常にありがたいですよね。
プロパンガスのデメリットとしては、ガスボンベを設置するスペースが必要になるということが言えます。
特に都市部では、限られた土地の中で家を配置するのに、ガスボンベの設置スペースを確保するのは大変です。
また、上述したとおり、都市ガスに比べて使用料金が高いというデメリットもありますね。
さらに、万が一ガス漏れした場合にガス爆発のリスクが高いです。
ガス漏れ時に誤って火を付けてしまうと爆発に直結します。
それは、プロパンガスの比重が空気よりも重いため、漏れたガスは床付近に漂うからです。
逆に、都市ガスのガスは空気より軽いんです。
ガス漏れした場合、都市ガスのガスは天井付近を漂うので、火元から離れていることから早めに気づけばガス爆発のリスクは低くなります。
都市ガスのメリット・デメリット
都市ガスのメリットは、上述したように、プロパンガスとくらべて使用料金が安いということが言えます。
また、プロパンガスに必要なボンベ等の設置スペースが必要ありません。
さらに、都市ガスは「公共料金」であるため、急激な料金変動が無いという安心もありますね。
※プロパンガスは公共料金ではなく、「自由料金」となっているため、販売業者が自由に料金を決められます
都市ガスのデメリットとしては、大掛かりなガス管引込み工事が必要だということが言えます。
例えば、家を新築して都市ガスを利用する場合、道路の下に埋められているガス管から自分の土地へガス管を引き込む工事が必要になってきます。
この引き込み工事は使用者の負担ですから、家の工事費の中に含まれます。
地域によっては申請することで補助金が出るケースもあります。
もう一つ、重要なデメリットとして、災害時の復旧が遅いということが言えます。
地中に埋まっているガス管が大地震等で破損した場合、都市ガスの供給はストップします。
そしてその復旧工事にはかなりの日数がかかります。
供給業者も被災しているため、復旧工事開始までにも日数がかかることが想定されます。
プロパンガスと都市ガスのメリット・デメリットまとめ
プロパンガスと都市ガスのメリット・デメリットをまとめます。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
プロパンガス |
|
|
都市ガス |
|
|
都市ガス区域外の場合はプロパンガス一択になりますが、都市ガス区域内であればプロパンガスも選択できます。
それぞれのメリット・デメリットを考慮して、どちらが自分にとって最適かを検討してみてください。
今回の内容を踏まえると、一般的には
- 月々の固定費を安くしたい場合は都市ガス
- 初期費用を抑えたり災害時の復旧を優先したい場合はプロパンガス
と言えそうですね。
この記事がガスの種類・業者選びの参考になれば幸いです。