積水ハウスが地面師に詐欺をやられた!
「一体何のこと?」と思ったかもしれません。
今回は「地面師」の読み方や意味、積水ハウスがやられたと言われる詐欺の手口を紹介します。
地面師の読み方と意味は?
地面師は、「じめんし」と読みます。
土地専門の詐欺師ということで「地面師」です。
「土地師」では呼びにくいですし、「土地家屋調査士」と混同してしまうので、ちょっと稚拙な感じを含ませた「地面師」が定着したのだと思われます。
隠語辞典やコトバンクなどの現代用語辞典サイトには、
他人の土地等を自分の所有物だと偽って売買をし、お金をだまし取る詐欺師
という意味で掲載されています。
地面師の詐欺の手口とは?
他人の所有する物を売買することを「他人物売買(たにんぶつばいばい)といいます。
「民法」では、他人物売買はれっきとした適法行為です。
他人物売買において、契約後に売り主が所有権を取得できなくて契約の履行が不能となった場合には、
買い主は契約の解除とともに損害賠償請求をすることができるんです。
しかし、土地などの高額な物の取引においては、
手続きも複雑だし、一般個人が買い主の場合は想定外の損害が発生する可能性大ですよね。
そこで不動産に関わる法律である「宅建業法」では、消費者保護の観点から、
他人の所有する不動産を一般個人等に売る行為は原則的に禁止されています。
それを「他人物売買禁止」といいます。
しかし、他人物売買の適用除外ケースが3つあります。
- 売り主が当該不動産を取得することが明らかな場合
- マンションや分譲地の「未完成物件」で手付金の保全措置がされた場合
- 宅建業者間の取引の場合
です。
最近の地面師による詐欺の手口は、「宅建業者間の取引」で行われることが多いです。
普通、取引の相手が嘘をつくなんて想定しませんよね。
例えば、カレー屋さんで「毒入りカレー」が出るかもしれないなんて誰も思いません。
しかし、実際に地面師による詐欺は行われています。
不動産の取引では、慎重に相手の人間性を観察して、取引をして良い相手かどうかを見極めなければならないということです。
地面師に積水ハウスがやられた手口とは?
「ハウスメーカー最大手の積水ハウスが地面師に詐欺をやられた」
というニュースがありました。
地面師と言われる土地専門の詐欺師に、売買代金70億円の土地購入のための手付金として63億円も騙し取られたんです。
「え、住宅のプロなのに詐欺なんかやられちゃうの?大丈夫?」
と思われるかもしれませんが、上述したとおり、地面師による詐欺の多くは宅建業者がターゲットになっています。
さすがに、大手企業が被害に合うケースは珍しいですが。
宅建業者間の売買では他人物売買は禁止されていないため、購入者側の担当者は会社に損害を受けさせないために慎重に確認作業を行うはずです。
にも関わらず63億円もの損害が出てしまったというのですから、いったいどんな手口を使ったんでしょうか?
今回の地面師の手口は、「なりすまし」でした。
- 印鑑証明
- パスポート
を偽造して、手付金をだまし取った。
というものです。
「他人物売買をしようと思ったけど、取得できませんでした。でもお金は返せません。」
というものではなく、持ち主のフリをするという実に大胆な手口だったんです。
これらの本人確認資料を実際に見て「確認」するのは、担当者になります。
売買金額が70億円と大きいため、おそらく二人で確認作業をしたのではないでしょうか。
しかし、「騙されるかもしれない」という意識がない限り、偽造を見抜くことは難しいでしょうね。
担当者にとっては、とにかく無事に取引を終わらせて手柄を確定させたいですからね。
70億円の土地の手付として63億円の手付を支払ってしまうあたり、偽の売り主に「急いで決済したい」と言われて焦っていたのかもしれません。
ということで、大手企業を狙った犯罪は、営業マン真理をついた大胆かつ巧妙な詐欺だと言えます。
報道等を見る限り、地面師が一番悪いと感じてしまいますが、実際には地面師は末端の使い捨てコマだと言われています。
黒幕がいて、地面師を数百万円で雇い、うまく利用しているのだそうです。
今後の捜査がどうなっていくのか、注目していきたいと思います。
地面師に一般個人が詐欺に合わないための対策は?
地面師が一般個人をターゲットにすることは考えにくいですが、可能性がゼロな訳ではありません。
「成りすまし」地面師に騙されて、
→結果、所有権移転は行われず、手付金を騙し取られてしまった。
このようなことにならないためには、以下のような対策があります。
- 登記事項証明書で所有者を確認する
- 所有者の現住所を訪ねて本人と話をする
- 本人確認資料等の書類をしっかり見て違和感がないか確認する
です。
登記事項証明書は法務局で取得できます。
↓法務強の受付窓口
窓口付近の棚に置いてある申請書に
- 住所
- 名前
- 当該不動産の種類(土地・建物)
- 当該不動産の地番(住所とは違う可能性あり)
- 部数
を記入して、収入印紙を貼り付けて窓口に提出します。
※収入印紙は法務局内の専用窓口で販売しています。
詳細は以下の記事で確認できます。
上記対策での確認作業は、不動産屋の仕事内容になります。
つまり、不動産屋が信頼できる業者であれば私達個人は上記のような確認作業をする必要はないんです。
一般個人も、業者も、信頼し合える社会で有り続けてほしいですね。
この記事が土地を買う時の安心につながれば嬉しいです。