注文住宅を建てるなら、どこの会社に依頼するかというのは非常に大きな問題です。家の雰囲気も予算も依頼先によって全く違うものになります。
特にハウスメーカーに頼むか工務店に頼むかは大きな悩みのタネ。どちらがいいのか悩むだけでなく、どれがハウスメーカーで、どれが工務店なのかも素人にはなかなか判断がつきません。
◯ハウスメーカーの定義は?
ハウスメーカーと工務店の違いを知るためには、まずそれぞれの定義を確認しなければなりません。
ところが難しいことに、ハウスメーカーに明確な定義はありません。法律的な基準もなければ業界としてのルールもありません。住宅を手がけている会社が自分で名乗ったり、他から呼ばれたりすれば、それだけでハウスメーカーに分類されることになるのです。
ただ、一般的には規模の大きい会社、目安としては複数件にまたがるような規模で展開している会社がハウスメーカーと呼ばれることが多いです。
一方の工務店ですが、ハウスメーカーに比べて規模が小さく、住宅を取り扱う地域は限定されています。ただし、単に「工務店」と言った場合は住宅以外にも様々な工事を行う会社も含めるため、綿密にはハウスメーカーの対になる言葉とは言えません。
住宅を扱う会社を指す言葉としては他にも「ホームビルダー」などがあります。こちらについては、ハウスメーカー以外の住宅を手がける業者全般(つまりは工務店)を指していることが多いです。
◯代表的なハウスメーカー
ハウスメーカーと呼ばれたり自称したりする会社はたくさんありますが、その中でも大手8社を紹介します。
・積水ハウス
・ダイワハウス
・パナソニックホームズ
・ヘーベルハウス(旭化成ホームズ)
・ミサワホーム
・セキスイハイム(積水化学工業)
・三井ホーム
・住友林業
この内パナソニックホームズとトヨタホームは2020年に住宅事業の統合を予定しているため、業界の勢力図も変わりそうなところではありますが、消費者から見てこれらのハウスメーカーが特に存在感があることには代わりありません。
大手ハウスメーカーに共通している特徴
大手ハウスメーカーの特徴の一つが「プレハブ工法」の採用です。
プレハブ工法とは、工場で予め部材を生産・加工し、現場でのコストを大幅に削減した工法です。工場を使った大量生産により、安定した品質と大幅な工期の短縮を実現しました。
プレハブ工法とハウスメーカーが広まる前の住宅と言えば、大工さんが一軒一軒建てていくというハンドメイドのものでしたが、プレハブ工法の普及によって、住宅は手作りのものから工業製品へと変わっていきました。
今となっては多くのハウスメーカーで採用されているプレハブ工法ですが、この工法を積極的に採用し、販路を広げ、日本の住宅事情を大きく変えていくきっかけになったのはこうした大手ハウスメーカー達です。
工場生産を維持していくためにはある程度の規模が必要となるため、プレハブ工法の有無もハウスメーカーの基準と言えるでしょう。ただ、現在では大手でもプレハブ工法を採用していないところもあるため、やはり一つの目安でしかありません。
◯展開方法の違いによるハウスメーカーの分類
ハウスメーカーを分類する方法として、どのように規模を広げているかという視点もあります。
ハウスメーカーの基準として「複数地域に展開している規模」があると上で解説しましたが、どのように規模を広げているかは各社で違います。
ハウスメーカーが直接各地に支社や支店を持っていることもあれば、フランチャイズ方式やディーラー制度を取っているメーカーもあります。
販売方法の違いは、住宅そのものの質よりも、アフターサービスへの影響が大きくなりやすいです。何柔軟と暮らすことになるマイホーム。メンテナンスや点検などハウスメーカーとの付き合いも長くなるということも頭においておきましょう。
フランチャイズ方式
フランチャイズ方式を採用しているハウスメーカーと言えば、アイフルホームやユニバーサルホームなどです。
フランチャイズ方式では、本部が資材・建材をまとめて仕入れること小規模な業者では難しいでコストカットを実現しています。家づくりのノウハウや新しい技術、デザインなども本部が提供します。
加盟店となるのは各地の工務店で、小さな規模の会社では難しい仕入れや技術を取り入れながら家づくりを行います。ハウスメーカーが直接展開するよりも、住宅のコストが抑えやすいというメリットもあります。
素晴らしい制度に見えるフランチャイズ方式ですが、実際に関わるのは各地の加盟店になるため、同じブランドの家でも技術力や対応力には加盟店ごとに差が出やすいです。評判などを確認する場合には、地元のものに絞って確認しなければあまり意味がありません。
ディーラー制度
車のディーラーと同じようなもので、販売をエリアごとに委託するというものです。
トヨタホームなどが採用している制度で、ばらつき自体はフランチャイズよりも少ない傾向にあるものの、社員教育などが直接行き届いているわけではないため、対応についてはやはり地元の評判をチェックする必要があるでしょう。
◯ハウスメーカーとは何なのか
比較的規模の大きい住宅会社を指してハウスメーカーと呼ぶことが多いのですが、実際のところは正確な定義がなく、明確な分類を行うのは困難です。
同じハウスメーカーと呼ばれている会社でも、工法や販売スタイルは様々で、一概に「こうである」と説明することもできません。
重要なのは、「ハウスメーカーだからこう言うものだ」という先入観を持たず、ちゃんとその会社と家の中身を見ることです。大切なのは会社の規模ではなく、自分の希望通りの家が建てられること。それさえ覚えておけば会社選びで失敗することはありません。