リビングの一角に「小上がり和室」がある写真が雑誌にのっていたりしますよね。
小上がり和室があると和風のテイストがあっておしゃれだし、ちょっと腰掛けたり食事するのに雰囲気も良くて憧れます。
例えば廊下から一段上がって和室になっていると、和食レストランのようでなんだかワクワクしますよね。
しかし、実際に小上がり和室のある家に住んでみると色々と問題があることに気づくことがあると言われています。
そこで今回は小上がり和室で失敗する間取りや、小上がり和室の段差を収納にする場合の高さ、設置に必要な費用についてみていきましょう。
また、後半では実例画像も紹介しています。
1.小上がり和室の失敗する間取りは?
小上がり和室のある間取りは、広いリビングのアクセントになって人気があります。
小上がり和室には
- 雰囲気が良くておしゃれになる
- 赤ちゃんのおむつ替えが楽
- ちょっとした休憩に最適
といったメリットがある反面、配置や大きさによっては使い勝手が悪くなってしまい、失敗だったと感じることがあります。
以下では小上がり和室を取り入れる際、『失敗する可能性がある間取り』を3種類紹介しますね。
小上がり収納の失敗する間取り
①リビングに面して角が出る配置にした間取り
リビングに小上がり和室の角が出ている間取りにしてしまうと、足をぶつけることが多くなります。
裸足で歩いていて小指をテーブルなどにぶつけると痛いですよね。
小上がり和室は固定されていますから、ぶつけた衝撃はテーブルよりも大きくなるので、骨折などの怪我をするリスクも大きくなります。
また、お子さんがいる場合は子供が走り回っている時に転んで角で頭を打ってしまうケースもあるので心配が絶えないため、「失敗だった」と感じる人が多いですね。
②リビングの中央に配置する間取り
リビングの中央に小上がり和室を配置する間取りは、角が少し出ている配置よりも指をぶつけるリスクは多少減ります。
しかし、暮らしているうちに部屋が散らかりやすくなります。
雑誌や新聞などをとりあえず置いておくのに非常に便利な場所なため、ついつい色んなものを置いてしまうんです。
徐々に手前に物が増えてくると、手前のものを奥に押しやってさらに手前にものを置いてしまうことになります。
毎日の掃除の際にその都度片付けるんですが、だんだんいちいち片付けるのが面倒になり、散らかしっぱなし状態になってしまうんですね。
私も以前、中央配置を希望され、希望通りに設計したことがあります。
そのお宅もやはり数ヶ月後にかなり散らかってしまいました。
住宅会社としては、完成時に見栄えも良いので大成功という気持ちになるんですが、住んでから失敗だったと思われてしまうのはとても残念です。
③広いスペースを小上がり和室にする間取り
小上がり和室をリビングの一角とすることで、空間は広いまま変化を生み出すことができておしゃれになります。
しかし、大きく小上がりのスペースを取ってしまうと部屋としての用途に近くなってきますよね。
そうすると気になってくるのは天井の低さです。
一般的な家の天井高は2.4m程度なので、小上がりの高さが45cmの場合は天井高195cmになります。
身長170cmの男性が手を上に伸ばした時の高さは2.1mくらいなので、天井高が1.95mだと手のひらがべたっとついてしまうんです。
かなり圧迫感を感じると思います。
また、計画段階で畳の下を収納にしようと考えていても、実際に使えるのは手前の部分だけだったりしますから、思ったより収納量は増えません。
畳の奥の方を上開き収納にすれば多くのものを収納できますが、畳の上にテーブルなどを置いてしまうと開閉の際にいちいち移動しなければならないので不便です。
上開き収納にする場合はしまうものを考えておく方がいいですね。
例えば、一年に一度しか出し入れしないようなものです。
ひな人形やお彼岸の台などでしょうか。
また、掃除がしにくいというデメリットもあります。
広い小上がり和室を掃除する場合、掃除機を持って段差を上り下りする必要がありますよね。
高さを45cmとした場合、椅子の上に上がるのと同じですから大変です。
もし小上がり和室を4.5帖以上の広さにする場合は、掃除のしやすさを考慮して30cm以下にすることをオススメします。
2.小上がり和室に収納を兼ねる場合の高さは?
小上がり和室と普通の床の間に生じる段差を収納にするとスペースの有効利用ができて効率的に感じますよね。
小上がり和室の収納には
- 引き出しタイプ
- 上開きタイプ
がありますが、いずれのタイプでも床から30cmの高さがあればOKです。
↓引き出しタイプの収納
↓上開きタイプの収納
高さを30cmとする場合、引き出しタイプの場合は収納内の有効高さが15cm程度となるので、あまり高さがあるものは入れられません。
大きな壺や雛人形などを収納する場合は上開きタイプとする方が良いです。
上開きタイプにした場合は、床下収納用のボックスを使用せずにベタ基礎に直に置いてしまえば最大で85cmの高さのものをしまっておけます。
小上がり和室の段差を利用した「引き出しタイプ」と「上開きタイプ」の2種類の収納を紹介しましたが、いずれのタイプも一般的な収納よりも使い勝手が悪いです。
一般的な引き出しや開き戸の物入れは、立った姿勢から使うので楽ですよね。
小上がり和室の段差収納は足元にあるので、低い姿勢になるのが大変なんです。
そのため、長く使っていると開け閉めが非常に面倒に感じて、そのうちに使わなくなってしまうと言われています。
3.小上がり和室の費用は?
小上がり和室を作る費用は、住宅会社によって変わります。
大手ハウスメーカーで標準プランから追加・変更して小上がり和室を作る場合、プラス50〜80万円かかると考えられます。
材料費・施工費の他に変更手数料がかかるためですね。
一方、工務店の場合は、施工前に相談しておけば材料費の10万円〜20万円程度のプラスとなります。
施工手間は普通の床で仕上げるよりもかかりますが、良心的な工務店の場合はトータルの大工手間に少し追加となる程度で治るはずです。
リフォームの場合は、材料費プラス大工手間で5〜6万円程度でできますね。
もっと費用を抑えたい場合はDIYも可能ですが、電動工具などの道具が必須です。
丸ノコやインパクトドライバーなどの電動工具を持っている場合はDIYに挑戦しても良いかもしれませんね。
簡単に設置したい場合は、既製品の畳収納ユニットをオススメします。
畳収納ユニットには
- パナソニック(固定式)
- ディノス(可動式)
- ベルメゾン(可動式)
↓パナソニック(固定式)
参考価格=209,520円(税込み) 楽天市場
↓ディノス(可動式)
参考価格=194,292円(税込み) ディノス
↓ベルメゾン(可動式)
参考価格=81,204円(税込み) ベルメゾン
など、いろんなメーカーから商品が出ています。
一戸建ての家にお住みの場合はパナソニックの固定式がオススメです。
非常にしっかりしていて、新築した小上がり収納のような完成度となりますよ。
しかし、重いため移動させるのはかなり大変です。
設置する場所が変わる可能性がある場合は、ディノスやベルメゾンのキャスターがついた可動式が良いですね。
4.小上がり和室の実例画像
小上がり和室の実例画像を見てみましょう。
↓6畳の大型タイプ
6畳は小上がり収納としては大型です。
↓作り付けの机部分を下げた小上がり和室
椅子に座って机に向かう感じに近い姿勢となるように、足が来る部分を下げたタイプです。
しかし、なんとなく掃除しにくそうですよね。
また、椅子に座るのであれば、近くにあるダイニングを使えば良いような気もします(^^)
↓角を面取りしたタイプ
角が90度のままリビング側に出ていると、足をぶつけたり子供が転んで頭をぶつけたりするリスクがあります。
そんなリスクを軽減するために角の部分を45度切り欠いたタイプですね。
角がどうしても出てしまう配置の場合は、安全に配慮してこういうふうに面を取るのがおすすめです。
↓掘りごたつを組み合わせたタイプ
小上がり和室に掘りごたつは相性いいです。
掘りごたつ用のヒーターを既製品の小上がり畳収納で囲むだけでも作れますよ(^^)
並び替えたり移動も簡単でいいですよね。
目次 ~この記事に書かれていたこと~
ショールームやモデルハウスで小上がり和室があると、とてもおしゃれで自宅にも取り入れたいと思いますよね。
しかし実用性を考えた間取りでは、家全体の導線に調和するように配置する必要があります。
やはり、間取りの専門家に依頼するのが無難ですね。
スーモカウンターなどで一度間取りの相談をしてみるのもおすすめです。
完成している間取りの和室を小上がり和室に変更したい場合は、住宅会社と使い勝手をよく相談して決めるようにしましょう。