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長期優良住宅化リフォーム推進事業とは?補助金額や提案型・評価基準型の違いも

長期優良住宅法(長期優良住宅の普及の促進に関する法律)が施行されたのが2009年。

当初は新築住宅の認定のみでしたが、平成25年度からリフォームでの長期優良住宅化に補助金が出るようになりました。

さらに、平成28年度からは長期優良住宅(増改築)の認定制度も開始され、より重要度を増してきたんです。

今回は長期優良住宅化リフォーム推進事業の紹介や補助金の予算、S基準やA基準の違いについて解説します。

1.長期優良住宅化リフォーム推進事業とは?

長期優良住宅化リフォームのイメージ画像

長期優良住宅リフォーム推進事業とは、一般の住宅(長期優良住宅ではない住宅)の長期優良住宅化を促進するための補助金事業です。

リフォームによって家の性能をアップさせ、長期優良住宅(増改築)の認定を取得することで、税制や金融制度等において優遇を受けることができます。

長期優良住宅は国の認定住宅で、住宅性能表示の以下の項目において一定の基準をクリアした住宅です。

項目 一定の基準
耐震等級 等級2以上
断熱等性能等級 等級4(最高等級)
劣化対策等級 等級3(最高等級)
維持保全対策等級 等級3(最高等級)

 
制度開始当初は新築住宅のみ認定可能でしたが、2015年からリフォームでの長期優良住宅化が可能となりました。

 

【参考】
新築の長期優良住宅の補助金給付は、国土交通省が「地域型住宅グリーン化事業」で行なっています。
補助金額は地域材の使用によって最大120万円で、申請書類や実績報告書類等の事務処理が必要です。

2.長期優良住宅リフォーム推進事業(平成29年度)補助金額は?

長期優良住宅化リフォームの補助金のイメージ画像

長期優良住宅リフォームには下表のとおり4種類あり、それぞれに補助金の上限が定められています。

種類 補助金額
①評価基準型 100万円まで
②認定長期優良住宅型 200万円まで
③高度省エネルギー型 250万円まで
④提案型 100万円(長期優良住宅認定を取得する場合は200万円)まで

 
※三世代同居に対応するための工事を含む場合はそれぞれにプラス50万円

上記補助金額は当該工事費とインスペクション等の費用も対象です。

※インスペクションに関しては下で説明しています

補助金額は、補助金上限金額以内かつリフォーム工事費+インスペクション費用の1/3以内となっています。

3.長期優良住宅化リフォーム4種類の説明

長期優良住宅化リフォームには、以下の4種類があります。

①評価基準型

評価基準型とは、

  • 耐震性
  • 劣化対策性
  • 維持管理・更新の容易性
  • 省エネ性

のいずれかの項目で評価基準に適合することで、最大150万円の補助金を受けられるものです。

ハードルが比較的低いリフォームとなりますね。

ただし、所得税控除・固定資産税減額のメリットは受けれられないので注意してください。

②認定長期優良住宅型

認定長期優良住宅型は、「長期優良住宅(増改築)の認定を取得することで最大250万円の補助金を受けるものです。

  • 耐震性
  • 劣化対策性
  • 維持管理・更新の容易性
  • 省エネ性

の各項目において適合する必要があるため、ハードルはかなり高いですね。

性能向上による安心・快適な住空間を得ることができ、税制面においても控除や減額の措置があります。

③高度省エネルギー型

高度省エネルギー型は、長期優良住宅(増改築)の認定を取得し、さらに一次エネルギー消費量計算において現行省エネ基準のマイナス20%となるようにするものです。

補助金限度額は最大300万円です。

最も難易度の高いリフォームとなります。

④提案型

提案型は、事前提案の審査において

  • 先導生
  • 汎用性
  • 独自性

が高いと判断され、工事後に一定の性能基準を満たすものです。

最大150万円の補助金を受けられます。

ただし、長期優良住宅(増改築)の認定を受けるものに関しては最大250万円まで受けられます。

提案型は、申請において事前採択が必要で、公募時期は以下のとおりです。

平成29年5月10日〜平成29年6月2日

また、提案後に所定の審査に合格しないと採択されず、補助金の交付がされませんので注意が必要です。

4.長期優良住宅化リフォームのインスペクションとは?

長期優良住宅化リフォームのインスペクションのイメージ画像

インスペクションとは、長期優良住宅化リフォーム推進事業において必須とされている現況検査であり、認定団体に登録しているインスペクターによって行われなければならないという決まりがあります。

誰が検査したかは、補助金交付前の完了報告書によって確認されます。

長期優良住宅化リフォーム推進事業の補助金対象であるインスペクション等の費用は、以下のように対象限度が決められています。

補助金対象項目 対象費用 対象限度額
インスペクション 認定団体所属のインスペクターによる現況検査・報告書作成費用 15万円
リフォーム履歴作成 リフォーム計画書の作成費用 6万円
評価基準適合確認書の作成費用 6万円
長期優良住宅(増改築)認定費用 6万円
BELS評価書取得費用(高度省エネルギー型のみ) 3万円
工事結果確認・工事内容確認書作成費用 6万円
維持保全計画作成 維持保全計画書作成費用 3万円
リフォーム瑕疵保険 検査料・保険料 3万円

 

5.長期優良住宅化リフォーム推進事業の国の予算は?

長期優良住宅化リフォーム推進事業の予算を決める国会議事堂の画像

国土交通省のホームページで平成29年度の予算を確認できます。

長期優良住宅化リフォーム推進事業の予算は、

「平成29年度国土交通省関係予算概要」のページの、組織別予算概要「住宅局(PDF書類)」に載っています。

 

 

平成29年度(2017年度)長期優良住宅化リフォーム推進事業補助金の予算は

131億6000万円です。

平成28年度は113億8000万円でしたから、前年度よりも1.16倍となっていますね。

6.長期優良住宅化リフォーム推進事業補助金が手厚い理由は?

長期優良住宅補助金の補助金が手厚いイメージ画像

長期優良住宅化リフォーム支援事業に限らず、住宅に関する補助金制度ってかなり高額で手厚いんです。

何故でしょうか?

それは国が景気をよくしようとする場合に、住宅政策に力を入れるからだと言われています。

家は人生最大の買い物といってもいいくらい高いですよね(^^)

買い物一件あたりの単価が大きいんです。

住宅市場を活性化することは、国の経済状況を上昇させるために非常に重要な要素になります。

1950年代から、日本は新築住宅の購入に対して税制面や金利面において有利となる政策を実施してきました。

しかし、最近は少し方向性が変わってきています。

手厚い住宅政策が増改築(リフォーム)まで広がってきたんです。

政府の方針よりも先に、社会の変化がありました。

全期間固定金利型住宅ローン「フラット35」の金利が大きく下がり始めた2010年頃に変化が始まります。

新築住宅会社がこぞって「提携住宅ローン」を取り揃えるなど多角的な営業戦略を開始していた中、リフォーム専門業者やハウスメーカーのリフォーム部門などがかなり活発に活動し始めたんです。

中小住宅会社も、リフォームに力を入れ始めました。

住宅会社やリフォーム会社だけでなく、ガス・水道等の設備会社や建材屋さん、サッシ屋さんなどのいわゆる「下請け業者」も自らリフォーム業を始めるところが増えたんです。

下請け業者がリフォーム業界に参入するイメージ画像

最近はテレビでも住宅リフォームのCMをよく見ますよね。

こうした社会の動きに追随するように、政府もリフォームによる長期優良住宅化を進めていこうということになったわけです。

リフォームは新築住宅ほど大きなお金の動きはありませんが、数百万円の資金で実現できるため件数は新築よりも多くなります。

さらに、既存の家を長期優良住宅にしようとすると全体的に性能を向上させる必要があるため、1000万円以上のリフォーム工事となるケースも出てきています。

今後リフォームの需要がより増えてくると、新築住宅の市場並みに大きくなっていく可能性も出てくるわけですね。

国としては、補助金を出すことでもっと高額なリフォーム工事をする人が増えて、どんどん経済を活性化してほしいという考えです。

7.長期優良住宅化リフォームのメリットは?

長期優良住宅化リフォームをすることによるメリットは、

  • 耐震性向上による安心安全の確保
  • 省エネ性向上による快適に暮らせる
  • 所得税の控除(認定が必要)
  • 固定資産材の減額(認定が必要)
  • リバースモーゲージの査定が有利になる(認定が必要)

などがあります。

こうしたメリットを受けられるようになるということで、長期優良住宅リフォームの需要は今後一層増えていくと考えられますね。

リバースモーゲージとは、金融機関の提供するローン商品の一つです。

リバースモーゲージのイメージ画像

「逆住宅ローン」という意味合いがあります。

どういうことかというと、一般的な住宅ローンは大きなお金を一度に借りて、徐々に返済する方式ですが、リバースモーゲージは徐々に借りたお金を一括で返すという方式なんです。

65歳以上の高齢者世帯が対象のローンですね。

実際には、居住者が全員亡くなった際に担保不動産を金融機関が取得することで返済とするもので、銀行等は当該不動産を運用することによって資金回収します。

長期優良住宅化リフォームをして認定をとっておくと、リバースモーゲージを利用するときの担保となる家の査定額が有利になるメリットがあるということですね。

詳しくは以下の記事を参照してみてください。

 

【参考記事】
注文住宅の予算オーバーとならない資金計画の立て方!土地から探す場合も

この記事の1.2.6 各種申請費用「長期優良住宅または低炭素住宅認定申請」を参照

 
では長期優良住宅化リフォームのデメリットはというと、費用が高いということがいえます。

しかし、その高い費用の補填のために補助金があり、消費者の負担が軽減されていると考えられますね。

 


 

ヨシヒロ
以上、今回は長期優良住宅リフォーム推進事業や補助金の予算、S基準とA基準の違いを解説しました。

新築で長期優良住宅にしようか迷っている場合は、後から長期優良住宅化するより最初からそうしておく方が良いでしょう。

リフォームには内装や窓などを取り壊してくっつけ直すというロスがあるからです。

長期優良住宅化リフォームは、通常のリフォームよりもコストはかかりますが、補助金や税金の控除等を考慮するとお得になる可能性が高いです。

しかし、この制度を利用するには申請や完了報告等の書類作成等がかなり複雑で、リフォーム業者にとって高いハードルがあるというのも事実です。

業者選定を検討する際は、その業者がこの長期優良住宅化リフォーム推進事業にきちんとした理解があり、実績も十分なものがあることを確認するようにしましょう。

また、複数のリフォーム会社から見積もりを取ることをお勧めします。






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