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建築条件付き土地は評判が良くない? メリットとデメリットを紹介

土地探しをしていると見かけるのが「建築条件付き土地」。立地や広さに比べて割安のことが多いものの、「条件」という文言に敬遠してしまう人もいます。
あるいは、建売住宅を探している途中で建築条件付き土地にたどり着くこともあるでしょう。すでに建物ができあがっている建売と比べて、自由に建てることのできる建築条件付き土地は魅力的です。

建築条件付き土地は普通の更地を購入するのとも、建売住宅を購入するのとも勝手が違います。建築条件付き土地の評判は芳しくありませんが、それはこの勝手の違いを知らないまま購入してしまったことに原因があります。

では、建築条件付き土地とは普通の土地とどのように違うのでしょうか? また、購入時にはどこに気をつければ良いのでしょうか?
今回は、建築条件付き土地のメリットとデメリットから、建築条件付き土地を買っても良いケースと、買ってはいけないケースについて考えていきます。
町並みに西日が当たる周辺取引相場のイメージ画像

建築条件付き土地とは?

建築条件付き土地の多くは立地や条件の割に安価で売りに出されています。

「条件」というと難しそうに感じますが、建築条件付き土地で言う「条件」とは、その土地に住宅を建設する住宅会社が決まっているということを指します。

どの業者に家を建ててもらうかは選べませんが、その業者で建てられる範囲内で自由に間取りや内装、設備などを決めることができます。
普通の建売住宅よりは費用がかかりますが、注文住宅よりも安価で、ある程度の自由が期待できます。ちょうど建売住宅と注文住宅の中間ぐらいのものだと考えて良いでしょう。購入者が決まってから建物をつくるため、売建と呼ばれることもある形態です。

建売住宅のように完成品を購入するのには抵抗があるか、注文住宅ほどお金はかけられないという場合にピッタリです。

建築条件付き土地は増加傾向にあります。
これは、販売する業者の側にも旨味のある販売方法だからです。

まず、住宅の供給自体が過剰になっており、付加価値がなければ住宅が売れにくくなっています。

2019年には総世帯数を住宅供給数が上回ると言われています。家を売るためには、価格を下げるか、なにか付加価値をつけるかのどちらかが必要です。

家にこだわりがなければ、高価な一軒家を購入するのではなく、賃貸でも十分です。
わざわざマイホームを購入する世帯にアピールするためには、自分で間取りや設備を選べる自由度が必要です。

資金面でも、建築条件付き土地は業者にとってメリットがあります。

建売住宅の場合、土地を手に入れて、数ヶ月かけて住宅を建築し、その後建築確認申請を通して初めて販売が可能になります。
建築確認申請にはそれだけで1ヶ月から2ヶ月かかります。業者は家が売れるまでの間、土地にかかる固定資産税や借りている土地の費用を払い続けなければなりません。

これが建築条件付き土地になると、建物がないので建築確認申請を待たずに土地の販売ができるため、税金や賃料の節約になります。

建築条件付き土地のメリット

建築条件付き土地を購入するメリットは大きく分けて次の4つです。

1.好条件の土地を手に入れやすい
2.プランや間取りを決められる
3.つなぎ融資の必要がない
4.建築中に固定資産税が発生する心配がない

●好条件の土地を手に入れやすい
建築条件付き土地最大の魅力はやはり好条件の土地を安く手に入れやすいということでしょう。

良い土地を探すのは大変です。一般の人間があちこち探し回っても、立地や形の悪い安価な土地か、条件の良い高価な土地ばかりです。多くの場合、利便性と価格の間で妥協が必要になります。

しかし、建築条件付き土地を販売する業者は独自のネットワークをもっているため、好条件の土地を見つけ出すことができます。
そのため、建築条件付き土地の多くは好立地・好条件のものが多く、建築条件がない土地に比べると価格も安いです。

●プランや間取りを決められる
建売住宅の場合、購入時点で家がすでに完成している、もしくは建築確認申請が終わっているため、間取りを変えることは不可能です。設備などを多少変更できる建売住宅も中にはありますが、やはり自由度は低いです。

建築条件付き土地の場合は、業者は決まっているものの、間取りやプランは選ぶことができます。

●つなぎ融資の必要がない
建築条件付き土地の場合、土地の建物のローンをまとめて組めるため、つなぎ融資の必要がないというのもメリットです。

土地と建物を別々に購入する場合、つなぎ融資を利用するか、土地を決めてすぐ建物の契約をするかのどちらかになります。

つなぎ融資は、土地購入後、建物のローンを組むまでの間に一時的に組むローンです。
つなぎ融資は住宅ローンに比べて金利がやや高く、手数料として数十万円必要になります。

つなぎ融資を使いたくないという場合は、土地を決めてすぐに建物の契約を結ぶことになります。
気に入った土地が見つかったら仮押さえをし、仮押さえ期間中に建物の契約を結びます。その後すぐに住宅ローンの申し込みをすれば、つなぎ融資なしでも住宅ローンが組めます、
ただし、土地の仮押さえができるのは数週間から1ヶ月ほど。住宅ローンの審査にも時間がかかることを考えると、ほとんど時間の余裕はありません。
建物の契約や住宅ローンの申請のためには、家の間取りやプランなどが完全に決定している必要があります。つまり、土地を決める以前から家のプランを練っていなければ不可能です。

しかし、建築条件付き土地ならば、つなぎ融資や土地の仮押さえ期間を気にする必要はありません。

●建築中に固定資産税が発生する心配がない
固定資産税はその年の1月1日時点の状況を元に課税されます。住宅がある土地に比べて更地の税金は高く、6倍もの固定資産税が課されます。

土地を先に購入していた場合、住宅の完成前に年を跨いでしまうと、更地の税金が課されることになってしまいます。住んでもいない場所に高額の税金を支払うことになるのです。

建築条件付き土地では、建物の完成と同時に土地が引き渡されるのが普通です。更地の固定資産税を支払うことにはなりません。

建築条件付き土地のデメリット

建築条件付き土地には次のようなデメリットもあります。

1.建売住宅よりもお金がかかる
2.自由度が低くなりやすい
3.プランや間取りを考えられる期間が短い

●建売住宅よりもお金がかかる
建売住宅が安価なのは、同じプランの住宅をまとめて建設することで、設計や仕入れのコストを抑えられるためです。
当然、自分で間取りやプランを決められるようにすれば価格も上がります。

建築条件付き土地の場合、似たような建売住宅よりも10%から20%ほど高くなります。
オプションや変更などを加えれば加えるほど値段はどんどん上がるため、当初の予定よりも費用がかかってしまうという失敗もよくあります。

●自由度が低くなりやすい
建売住宅よりも自由度があるというイメージの建築条件付き土地ですが、普通の注文住宅と同じように自由に決められると思ってはいけません。

住宅の仕様や自由度は住宅会社によって様々です。
建築条件付き土地の場合、業者が決まっているため、土地を決めた時点で家の自由度も決まってしまいます。

注文住宅を取り扱うハウスメーカーの中でも、得意な設計や間取りは違います。標準仕様に含まれる設備も様々です。ゼロから家づくりができる場合もあれば、決まったプランから多少変更が加えられるといった程度のところもあります。
まして建築条件付き土地の場合は、注文住宅ではなく建売住宅を取り扱う業者が指定されている場合も多いです。この場合もっと自由度は低くなります。2、3パターンのプランから好きなものを選んで、後は微調整しかできないという業者もあります。
ごく普通の住宅が欲しいという人ならばそれでも困らないかもしれませんが、せっかく家をもつならこだわりをもって行いたいという人に建築条件付き土地は向いていません。

●プランや間取りを考えられる期間が短い
販売している業者にもよりますが、一般的に建築条件付き土地は先に土地の契約を行い、建物のプランが決まったら建物の契約を行います。この時、建物のプランを練れるのは3ヶ月間で、これをすぎると契約は白紙に戻ります。
中には、もっと短期間でプランを決定しなければならない業者や、打ち合わせは3回までしかできない業者など、住宅についてじっくり考える時間が取れないケースも多くあります。
土地を購入する前に、家族でどんな家にしたいかを話し合っておかなければ、不満の残る結果になりやすいです。

建築条件付き土地が向いている人・向いていない人

インターネットで軽く検索してみればわかるように、建築条件付き土地の評判はあまりよくありません。
しかし、よく調べ納得した上で購入するのであれば、安価に良い土地が手に入る好物件です。

自分好みのマイホームを手に入れることよりも立地を重視する場合は、建築条件付き土地が向いています。
また、注文住宅ほどお金はかけられないが、多少間取りを変えたり内装を変えたりしたいという場合にも、妥協案として建築条件付き土地を選ぶのは悪くない選択肢でしょう。

反対に、こだわりの一軒家を建てたいと考えている場合には要注意です。
特に建売業者の手がける建築条件付き土地に自由度はほとんどないと言って良いでしょう。

どうしてもつくりたい間取りやほしい設備がある場合は、事前に確認が必要です。

建築条件付き土地で失敗しないためには、指定されている業者について知ることが必要です。
どんな家を建てている業者なのか、希望している設備や間取りに対応ができそうかどうか、事前によく確認しましょう。オプションを検討している場合はその価格も必ず聞いておきましょう。

また、契約のタイミングや手付金などの支払いについても把握しておいてください。
事前にどんな家が建てられるのかを知っておけば、自由度の低さで困ることもなければ、打ち合わせに使える時間が短くても困ることはありません。






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