トヨタホームは日本最大の企業グループ「トヨタ」関連のハウスメーカーです。
ユーザー側が安心できるハウスメーカーとして人気があります。
- シンセ
- エスパシオ
というふたつのシリーズがあります。
今回は、シンセシリーズの「はぐみ」と「スマートステージ」のフラット屋根タイプの外観特徴や実例の画像を紹介します。
シンセシリーズの特徴は「鉄骨ラーメン」という構造です。
鉄骨ラーメンはシンプルで地震に強い構造ですが、詳細は最後に説明しますね。
1.トヨタホーム「はぐみ」の外観デザインの特徴は?
トヨタホームHUGMI(はぐみ)は、トヨタホームのシンセシリーズの中でも20代〜30代の子育て世代に注目されている家です。
ネーミングから、
「はぐくむ」
「ハグ」
のニュアンスが読み取れますね(^^)
商品コンセプトにも、
「愛情が、ぎゅっと」
「暮らしやすさが、ずっと」
というフレーズがあることから、子育て世代に優しい家というイメージです。
外観もデザイン性を全面に押し出したものではなく、優しさや暮らしやすさを連想できるようなソフトな感じになっています。
具体的には、ファサード(正面)にはアクセント壁と小窓の組合せによって、人の顔をイメージできるような表情のあるデザインを採用していますね。
ただたんに顔っぽくできれば良い、というものではなく、デザインとしても押さえるところは押さえてありさすが大手ハウスメーカーです。
小窓の配置も部屋の中からだけでなく、外観(他の階との上下関係)とのバランスにもきちんと配慮したデザインがされています。
はぐみの外観は、
- クール・カジュアル
- モダン
- エレガント
の3つに分かれていて、好みのスタイルを選択できます。
①はぐみクール・カジュアル
はぐみクール・カジュアルは、寄棟屋根の軒に窓の上端をくっつけることで水平ラインを強調したデザインとなっています。
水平ラインを強調することで、単に寄棟屋根とするよりも、より安定感を強めた印象を与えることができるんです。
安定感を強めることはどういうことかというと、建物(家)に安定感があることはすなわち「安心感」に繋がります。
安心感のある住まいは家の理想像と言っても過言ではありません。
過激なデザインは小物や絵画で手元に置いておき、住む家は安心感があるデザインの方が住みやすいですよね。
②はぐみモダン
はぐみモダンはフラット屋根を採用したシャープなシルエットの家です。
トヨタホームのフラット屋根は軒の出が無く、少し出て見えるのは雨樋(あまとい)です。
屋根の勾配(角度)が無いため、雨水が屋根に長時間残りやすく、勾配屋根(切妻屋根や寄棟屋根)に比べて雨漏りのリスクが高いと言えますね。
トヨタホームには定期点検があるので、点検の際に異常があった場合はすぐにお知らせしてもらえるので安心です。
他の屋根形状に比べて小屋裏(屋根裏)空間が無いので夏場は暑くなりやすいというデメリットがあります。
③はぐみエレガント
はぐみエレガントは、切妻屋根を採用した元気で若々しいイメージのカラーリングが特徴的な家です。
主に女性に人気で、顔のように見えるファサード(正面)がかわいいと感じる方が多いですね。
アクセント壁は横張りのタイル仕上げとして、さり気なく玄関を覆いプライバシーを確保しています。
単なるアクセント壁ではなく、しっかりとした機能を持っており、意味のあるデザインです。
2.トヨタホーム「スマートステージの外観デザインの特徴は?
- 1.トヨタホーム「はぐみ」の外観デザインの特徴は?
- 2.トヨタホーム「スマートステージの外観デザインの特徴は?
- 3.トヨタホームの家の実例
- 4.トヨタホームの構造「鉄骨ラーメン」とは?
スマートステージは、トヨタホームのシンセシリーズの中で最も力を入れている商品だと言われています。
2011年の東日本大震災以降、防災時のエネルギー確保を重要課題として商品開発をしてきました。
トヨタホームは現在、停電時に電力自給できる「スマートハウス」の技術を全商品に組み込むことを可能としてます。
その中でも「スマートステージ」は、生活の質を下げずに(つまりエネルギー消費量を抑えることなく)、エネルギー収支ゼロを可能とする「ZEH(ゼッチ=ゼロエネルギーハウス)」に対応するなど、先端技術を取り入れた商品となっているんです。
スマートステージの外観に関しては、屋根形状を変更することで多様なデザインに対応可能としました。
①フラット屋根タイプ
フラット屋根タイプはシンプルでシャープな見た目が人気です。
ただし、普通の屋根に比べて雨水のはけが悪いので防水仕上げの状態を点検する必要があります。
トヨタホームのフラット屋根は特殊パネルを組合せた構造です。
↓フラット屋根と太陽光パネルの取り合い部
太陽光発電パネルを最大に設置したとしても隙間があるため紫外線によって劣化する部分が出てきますから、太陽光を載せればメンテナンスしなくても良いというわけではないので注意が必要ですね。
②寄棟屋根タイプ
寄棟屋根タイプは、家の四方に軒先の水平なラインが出ることから、安定感のあるデザインになります。
日本の一戸建て住宅では、この寄棟屋根の家が最も多いと言われているんですよ。
勾配(角度)を緩やかにして軒を深くする事によって、下から見るとフラット屋根に見えるのも特徴です。
モダンな家に多い屋根ですね。
また、本当のフラット屋根に比べて雨漏りのリスクが小さいメリットもあります。
③切妻屋根タイプ
切妻屋根は水平ラインが見える側と三角屋根の形が見える側があり、アクティブな印象を与えるデザインとなります。
ヨーロッパテイストのデザインの家に多い形ですね。
形がシンプルなことと施工性が良いことから、雨漏りのリスクは他の屋根形状に比べて低くなります。
④片流れ屋根タイプ
片流れ屋根は、2005年くらいまでは「シンプルモダン」な家の代名詞的な存在でしたが、現在ではかなり一般的な形となりました。
新築時に太陽光発電を設置するケースが激増したことから、片流れ屋根を選ぶ割合が増えたんです。
太陽光発電は南側に傾斜した屋根に設置するのが最も効率が良いので、屋根全面を南側に向けて出来るだけ多くの発電容量を載せるという需要が高まっていると言えます。
太陽光発電パネルの価格や設置工事費は年々下がっており、補助金や売電価格が下がってもかなり早い段階でペイできることが普及の要因ですね。
それがそのまま片流れ屋根の増大に繋がっているわけです。
⑤寄棟屋根(和風)タイプ
屋根の形によって家のイメージは大きく変わります。
しかし、同じ寄棟屋根でも
- モダンテイスト
- 和風テイスト
と大きく違う印象を与えることができます。
それは色や外壁材の素材によって変わってくるからです。
淡いアースカラー(黄色・茶色・ベージュなど)を使うと欧米風なデザインを引き立てます。
濃い色(焦げ茶・黒など)は和風の感じを出しやすいですね。
この和風タイプも外壁やアクセントにこげ茶を使い、適度に和風の雰囲気を出してますよね。
このように、構造やシルエットは洋風建物であっても、仕上げ材の素材や色の工夫によって和風テイストを入れることが可能なんです。
3.トヨタホームの家の実例
トヨタホームの家の実例画像を集めてみました。
↓はぐみ切妻屋根タイプの実例
北側玄関タイプの間取りも用意されています。
トヨタホームの企画住宅は間取りがよく考えられているので、最初から自分で作ろうとせず、一通り提案間取りを見てから検討することをお勧めします。
↓はぐみモダンタイプの実例
はぐみモダンタイプはシャープでスッキリとした印象ですよね。
縦長の小窓が印象的ですが、配置には難しいところがあるので、自由設計で注文したい場合は担当設計士とよく話し合うほうが良いです。
間取りとデザインのバランスを確認しながらプランニングをすすめるようにしましょう。
↓スマートステージフラット屋根タイプの実例
洗練されたデザインのスマートステージフラット屋根。
中庭にパーゴラをしつらえて豪華に仕上げています。
中央の三連窓のあるキューブ状部分は屋根を高くしてデザイン上のアクセントとしていますね。
↓はぐみエレガント東側玄関の実例
再びはぐみエレガントの登場です。
これは東側玄関の間取りですね。
上で紹介したコンセプトのイラストも東側玄関でした。
玄関を覆うアクセント部分ですが、プライバシーの確保とともにもうひとつ役割があります。
それは、朝日の直射による玄関ドアの変形の防止です。
特に、冬の寒い日は朝日が直接玄関ドアに当たる場合、玄関の内側よりも外側の温度が著しく上がります。
そうなるとドアが変形し、カギが掛からなくなったり、ひどくなるとドアが開かなくなったりすることがあるんです。
西側玄関の場合は西日の直射を防ぐ役割になりますね。
↓スマートステージ寄棟屋根タイプの実例
スマートステージは太陽光発電パネルを標準的に載せることでスマートハウスとしての機能を高めています。
できる限り効率よく発電させるために、南側に下る勾配を持つ屋根面にたくさん載せると良いでしょう。
しかし、寄棟屋根は面形状が台形となり、切妻屋根や片流れ屋根等の長方形屋根面とくらべて最大搭載量が小さくなります。
斜めの部分に設置するためのパネルも売られていますが、長方形パネルと比べると高価です。
4.トヨタホームの構造「鉄骨ラーメン」とは?
- 1.トヨタホーム「はぐみ」の外観デザインの特徴は?
- 2.トヨタホーム「スマートステージの外観デザインの特徴は?
- 3.トヨタホームの家の実例
- 4.トヨタホームの構造「鉄骨ラーメン」とは?
鉄骨ラーメンとは、「鉄骨造・ラーメン架構」にちなんだトヨタホーム独自の構造名称です。
建築物は、
- 構造種別
- 架構形式
で分類します。
①構造種別とは
構造種別とは、
- 鉄筋コンクリート造
- 鉄骨造
- 木造
といった材料による分類です。
↓鉄筋コンクリート造
フレームが鉄筋コンクリート造でも、上の画像(住吉の長屋)のようにコンクリート打ちっぱなし仕上げではなく、レンガ仕上げだったり窯業系サイディングボード仕上げだったりします。
↓鉄骨造
鉄骨造の建物は外部にはあまり鉄骨を出さないで仕上げます。
内装には上の画像のように鉄骨を表して塗装仕上とすることが多いです。
↓木造
木造の建物も外部に構造体である木部を出しません。
紫外線や雨水によって木が劣化するためです。
ただし、仕上げ用に加工した木を使用することは多いですね。
②架構形式とは
- 軸組構造(ラーメン架構)
- 壁構造
- トラス構造
などの「骨組みの組み方」です。
↓軸組み構造(ラーメン架構・鉄骨造)
↓壁構造
壁構造と軸組構造の中間的な構造の、「薄肉ラーメン架構」というものもあります。
「チャーシュー麺かよ」
という声が聞こえてきそうですね(^^)
それぞれ構造耐力を計算して用いられるもので、名称は実務において付けられたものです。
建築基準法で定められている訳ではありません。
↓トラス架構
トラス架構は、三角形に組まれた鉄骨フレームを組合せた架構です。
軽量で大スパンを飛ばしやすいため、ガソリンスタンドの屋根や陸橋などに多く用いられます。
三角形のそれぞれの辺を形成する鉄骨部材には曲げの力は掛からず、接点を押す力と接点を引っ張る力のいずれかが掛かるようになってるんですよ。
構造種別=鉄骨造
架構形式=ラーメン架構
③鉄骨ラーメンの説明
トヨタホームのシンセシリーズに採用されている構造は
「鉄骨ラーメン」
であると上述しました。
鉄骨ラーメンは鉄骨造です。
(1)鉄骨造の特徴
鉄骨造とは、建築構造種別のひとつで、鉄製の材料主体で作られた構造です。
鉄骨は材料(鉄)の特性上、粘り強く、材料の「しなり」によって地震力や風圧力などの力に抵抗します。
「地震に強い」と言われますが、揺れないわけではなく、「震動」や「曲げ」に対して粘り強いので壊れにくいというメリットがあります。
実際に鉄骨造の事務所などで過ごしたことがありますが、けっこう揺れます。
地震時だけでなく、近くを大型トラックが通ったりするだけでもかなり揺れましたね。
揺れるけど、建物が壊れる心配は少ないという事が言えます。
(2)ラーメン架構の特徴
ラーメンとは架構形式のひとつだと上述しました。
ラーメン架構は柱・梁を組み合わせる軸組架構形式です。
柱には圧縮に強い材料を使い、梁には引張力や曲げようとする力に強い材料を使います。
柱の上に梁を渡すという考え方は、古代ギリシャ建築で用いられた「まぐさ造」が元になっているんです。
↓まぐさ造
まぐさ造は柱の上にまぐさ(石材の梁)を渡して門型部分を形成します。
上の画像は古代ギリシャの建築物「パンテオン」です。
古代建築にはもうひとつ、組積造があります
↓組積造
組積造の特徴は柱・梁が無く、石を積み上げていくところです。
門型部分も石の組合せによってアーチ状にしています。
組積造から派生した架構形式が壁構造で、まぐさ造から派生した架構形式が軸組構造=ラーメン架構です。
トヨタホームの家に採用されている鉄骨造は、柱の位置関係など間取り的な制約はありますが、スパンを飛ばすことが比較的簡単なため、外観等のデザインに自由度があるというメリットもあります。
「スパンを飛ばす」というのは、柱のない大きな空間をつくるという意味です。
ハウスメーカー選定の参考になればと思います。