しくみ・構造

ツーバイフォー工法の構造や基礎の画像・図面は?構造計算方法も

ツーバイフォー工法のパネルをレッカーで釣り上げる画像

ツーバイフォー工法は地震に強くて在来工法よりも低コストということで、検討する方が多いです。

柱の無いと言われる構造や基礎がどのようになっているのか気になりますよね。

今回は、ツーバイフォー工法の構造や基礎の画像、図面上の在来工法との違いと構造計算方法を紹介します。

ツーバイフォー工法関連として、以下の記事が参考になります。

ツーバイフォー住宅とは?寿命・耐用年数は?ハウスメーカーの価格も

ツーバイフォー工法の構造の画像は?

ツーバイフォー工法は柱が無い構造をしていると言われます。

長年日本家屋に親しんできた高齢者の方が、ツーバイフォー住宅のパネル組み立て工事を見ると驚きまよ。

中には「柱がないなんて家じゃない!」と感じる方もいらっしゃいます。

しかし、実際に屋根まで構造ができ上がった工事現場を見てみると、意外なことに在来工法と違いが分からないという方も多いです。

ではツーバイフォー工法の構造の画像を見てみましょう。

↓ツーバイフォー工法の構造
壁にピッタリ収まる収納家具の画像

↓在来工法の構造
在来工法の構造画像

違いは、柱があるか無いかです。

柱は断面の寸法が10.5センチ×10.5センチですから、真四角の材料ですよね。

ツーバイフォー工法は、

  • 頭つなぎ
  • 上枠
  • たて枠
  • スタッド
  • 下枠

という部材を組み合わせて壁パネルが作られます。

ツーバイフォー材の断面は8.9センチ×3.8センチの大きさです。

梁や床の下地・窓などの上の部分などには、必要に応じて断面のより大きな材料を使います。

↓ツーバイフォーのパネル
ツーバイフォーのパネルのアップ画像

壁の端はスタッドを2~3本重ね合わせて柱のようにしていますね。

ですから、正確には柱はあります。

部材の名前として「柱」とは呼ばないだけですね(^^)

ツーバイフォー工法の基礎の画像は?

ツーバイフォー工法は、重さを柱や梁で支えるのではなく、パネルと呼ばれる壁で支える構造になっています。

点ではなく、面で支えるのですね。

難しい言葉を使うと、力の伝わり方が在来工法と違うのです。

ツーバイフォー工法は、屋根や二階の荷物・人などの重さを、壁や床の面を通じて基礎・地面に伝えています。

では家全体の重さを支える基礎の画像を見てみましょう。

↓ベタ基礎
ベタ基礎の画像

上の画像は「ベタ基礎」といって、家の床下すべてに鉄筋コンクリートが敷かれています。

ベタ基礎にすることで地震による横揺れに強く、地面からの湿気を防ぐ効果があります。

基礎の種類はベタ基礎の他に、布基礎があります。

↓布基礎
布基礎(独立基礎)の画像

布基礎は、主に壁や柱の下に鉄筋コンクリートの基礎を配置します。

古い家の床下は土や砂利ですが、最近は衛生面に配慮してコンクリートを敷くことが多いです。

↓布基礎の仕上げが完了したところ
布基礎の仕上がり画像

見た目はベタ基礎と変わらないですね。

細かな違いは、ベタ基礎の平たい部分が鉄筋コンクリートであるのに対し、布基礎はワイヤーメッシュという細い鉄筋でできたネットが埋まっています。

↓平たい部分の鉄筋
土間の鉄筋を組んだ画像

↓ワイヤーメッシュ
ワイヤーメッシュの画像

地震などに対しては、布基礎部分のみで大丈夫なように設計されているので、布基礎だからといってベタ基礎より弱いという訳ではありません。

自分の家の基礎が布基礎だったとしても安心して下さいね(^^)

ツーバイフォー工法はどんな図面なのか?

ツーバイフォー工法の図面はどんな図面なのか見ていきましょう。

図面には以下の種類があります。

  • 平面図
  • 立面図
  • 配置図
  • 断面図
  • 基礎伏図
  • 梁伏図
  • 小屋伏図
  • 矩計図
  • 展開図
  • 部分詳細図

今回はこのうちの平面図に関して説明します。

まずは実際の平面図を見てみましょう。

以下のリンクは、私が実際に設計させていただき、施工されたツーバイフォー住宅と、在来工法の住宅の図面の一部です。

ダウンロードしてご覧ください。

ツーバイフォー工法の平面図

平面図とは、家を真上から見て、床から1m高い位置で切った断面図です(上の一覧の「断面図」は縦に切った断面図のことです)。

壁の厚さがかなり重要です。

ツーバイフォー工法の平面図(壁の厚さ)

下の画像は、ツーバイフォー工法の外部に面した壁の部分をクローズアップしたものです。

壁の右側が外、左側が家の中です。

↓ツーバイフォー工法の外部に面する壁の厚さ
ツーバイフォー工法の図面(壁の厚さ)の画像

  • パネルの厚さ=90mm
  • 室内側の下地材(プラスターボード)の厚さ=13mm
  • 室外側の構造用合板の厚さ=9mm
  • 空気層の厚さ=15mm
  • 外壁材の厚さ=20mm(取り付け金物含む)
  • 壁の厚さ合計=147mm

下の画像は、家の内部にある壁をクローズアップしたものです。

↓ツーバイフォー工法の内部壁の厚さ
ツーバイフォーの内部壁の厚み画像

  • パネルの厚さ=90mm
  • プラスターボードの厚さ=13mm×2
  • 壁の厚さ合計=116mm

在来工法の平面図(壁の厚さ)

下の画像は在来工法の外部に面する壁の部分をクローズアップしたものです。

壁の右側が外で、左側が家の中です。

↓在来工法の外部に面する壁の厚さ
在来工法の平面図壁の厚さの画像

  • 柱の太さ=105mm
  • 室内側の下地材(プラスターボード)の厚さ=13mm
  • 空気層の厚さ=15mm
  • 外壁材の厚さ=20mm(取り付け金物含む)
  • 壁の厚さ合計=153mm

↓在来工法の室内の壁の厚さ
在来工法の内部壁の厚み画像

  • 柱の太さ=105mm
  • プラスターボードの厚さ=13mm×2
  • 壁の厚さ合計=131mm

外部に面する壁の厚さは、

  • ツーバイフォー工法=148mm
  • 在来工法=153mm

ですから、在来工法の方が6mm厚いですね。

壁の中心線から室内側の厚さは在来工法の方が7.5mm厚くなります。
 

室内の壁の厚さは、

  • ツーバイフォー工法=116mm
  • 在来工法=131mm

ですから、在来工法の方が15mm厚いですね。

つまり、ツーバイフォー工法の家の壁と壁の間にピッタリと収まる家具は、在来工法の家の壁の間には入らないということです。

壁にピッタリ収まる収納家具の画像

また、同じ間取りの場合の室内空間の面積はツーバイフォー工法の方が広いと言えますね。

一軒の家の内部壁の合計長さが100mだったとしたら、1.5㎡もの差になります。

1.5㎡とは、畳1帖ぶん以上の面積になりますから、かなり大きい差ですね。

しかし、実際には壁の厚さの差でできる空間を、ひとつにまとめられるわけではないのであまり気にしなくても良いです。

ツーバイフォー工法の構造計算の方法は?

ツーバイフォー工法の構造計算の方法の画像

木造の住宅は、3階建ての場合または延べ面積が500㎡を超える場合に構造計算が必要になります。

許容応力度計算という方法を使います。

許容応力度計算は、家にかかる重さや地震などの力と部材がそれらに耐える力を計算し大丈夫かどうか判定する構造計算方法です。

計算のやり方には3種類あります。

  • 手計算
  • エクセル等の表計算ソフト
  • 専用構造計算ソフト

構造計算|手計算

手計算による構造計算は、紙とシャープペンがあればできますが、大変だし時間がかかります。

また、高度な構造の知識が必要です。

「力の釣り合い条件式」や「モールの定理」など、建築学科の構造力学の授業で覚える公式等を使って計算します。

構造計算の手計算の方法

構造計算を手計算で行う具体的なやり方を見てみましょう。

ひとつの建物のすべての構造計算は膨大な量になりますから、ここではほんの一部を見てみます。

建物の梁は、自重(部材自らの重さ)や荷重(上に載る物の重さ)によってたわみます。

そのたわみの大きさを計算することが重要です。

たわみの計算方法を見ていきましょう。

以下の図は、梁のたわみをイメージしたものです。

上から梁の真ん中に重さがかかったイメージですね。

梁の構造計算 荷重が掛かるイメージ画像

下の図は、梁がたわんだイメージです。

梁の構造計算 梁がたわむイメージ画像

この「たわみの大きさ」を計算するための式は以下の通りです。

たわみの公式画像

文章で現すと、

1/48・wl^3/EI

となります。

「E」=ヤング係数=素材の変形しにくさ
「I」=断面二次モーメント=たわみにくさ
「w」=荷重(wは重さを表すweightの略)
「l」=梁の長さ(lは長さを表すlengthの略)

この式に実際の載せる物の重さや梁の長さを入れて計算することで、梁がどのくらいたわむのかを算出します。

実際には、たわみの大きさだけでなく、座屈荷重(部材が変形や破損するギリギリの力)や建物が壊れる時のメカニズム(どのように動くか)なども計算していきます。

コンピューターが普及するずっと以前は、建築実務の現場では長い長い時間と大きな労力を掛けてこのように手計算をしていました。

しかし現在では、手計算は計算ミスや記載ミスが許されない構造計算の実務では、ほとんど使われません。

構造計算|エクセル等の表計算ソフト

表計算ソフトは安価で、多くのパソコンで使うことができます。

しかし、かなり細かな関数をたくさん使う必要があり、表計算ソフトの高度な使い方や、構造計算に関する高度な知識が必要になります。

前述した手計算で用いる公式などを関数に取り込んで、個別の数値を入力するだけで自動計算されるように設定しておくと便利ですね。

表計算ソフトは、手計算よりは労力・時間ともにかかりませんが、入力ミスなどのリスクがあるため、やはりあまり使われません。

構造計算|専用構造計算ソフト

構造計算を行う最も標準的なやり方は、専用の構造計算ソフトを使う方法です。

専用構造計算ソフトは、公式を入力する必要がありません。

設計した建物の詳細な寸法等を入力するだけで、必要な計算がすべて自動的に行われます。

ソフトごと特徴が違うため、スクリーンショットやお試しバージョン等を使って、自分にあったものを選ぶと良いです。

専用構造計算ソフトを5つ紹介します。

  • HOUSE-ST1/株式会社構造システム
  • ハウストラ/株式会社ハウステック
  • ホームズ君/株式会社インテグラル
  • 軸力Z4/株式会社エム・スクエアー
  • KIZUKURI/株式会社コンピュータシステム研究所

上記のうち、「ハウストラ」と「ホームズ君」以外は、それぞれにツーバイフォー工法バージョン・在来工法バージョンがあります。

価格は20万円~50万円程度です。

また、上記以外にも建築専用CADソフトアーキトレンドZ(福井コンピューター株式会社)にも許容応力度計算の機能があります。

アーキトレンドZは非常に高機能ですが、価格も150万円以上します。

専門家が使うソフトはやはり高いですね。
 


 
以上、今回はツーバイフォー工法の構造や基礎、図面、構造計算方法を紹介しました。
 

ツーバイフォー住宅の寿命や価格等については以下の記事が参考になります。

ツーバイフォー住宅とは?寿命・耐用年数は?ハウスメーカーの価格も






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