注文住宅を建てるには土地が必要です。
現在土地を持っていない場合、家を建てるための土地を購入するか借りる必要がありますよね。
家づくりを失敗してしまった方の中には、土地選びに失敗したケースが多くあります。
そこで今回は注文住宅を建てる時の正しい土地探しの方法を紹介します。
新たな生活の拠点を見つけるために、ぜひ最後まで読んで下さい。
また、後半では土地購入の流れを紹介します。
この記事を参考にしていただければ、スムーズに土地探し・購入ができるようになりますよ。
注文住宅の土地探し方法
- 1 注文住宅の土地探し方法
- 2 土地購入の流れ
家を建てるための土地探しの方法を紹介します。
土地は住み始めてから動かすことはできません。
ですから、慎重に場所を選ぶ必要があります。
後から「失敗した〜!」とならないためには、土地に対する希望条件の優先順位を決めることが大切です。
土地を選ぶ条件の項目は以下のとおりです。
- 場所(都道府県・市町村)
- 周辺環境
- 交通アクセス
- 接道条件
- 自治会(町内会)
- 子供の学区(小・中学校)
- 価格
- 建築条件無し
- 資産価値
以上の中で、ご自分の今後の人生において最も重要となる項目から優先順位を付けていきます。
ただし、どんな土地でもすべての項目を満足することはできないと考えておきましょう。
ここまでは外せないというラインを引いておくことは良いと思います。
以下で上記の9項目について解説していきます。
土地選びの条件「場所(都道府県・市町村)」
土地選びにおいて、今後住むことになる自治体をどこにするかは重要ですよね。
都道府県・市町村によって、自分にとって住みやすいかどうかが大きく変わってきます。
- 国民健康保険料
- 水道・下水道料金
- 固定資産税・都市計画税
- 子育て支援等
など、住む場所によって違います。
国民健康保険料は住んでいる地域によって違う
住民税は基本的に地域による差はありませんが、国民健康保険料は大きく変わることがあります。
会社勤めの方の場合は社会保険なので関係ありませんが、自営業の方や家を建てたあとで転職された方等は国民健康保険に加入することもあるかと思います。
以下のサイトではお住いの地域と年齢・年収を入力することによって国民健康保険料のシミュレーションをすることができます。
これから住もうと検討している地域ごとに比較できるので便利ですよ。
水道・下水道料金は地域によって違う
水道・下水道料金は地域によって違います。
理由は、水道や下水道を作るのにかかったコストと、利用人口の数のバランスが地域によって違うからです。
単純に人口の差ではなく、上水道は水源からの距離や合理的な配管経路になっているかどうかなどの要因が絡んできます。
下水道も浄水場までの配管距離やルートに応じて使用水量に対する料金が変わってきます。
以下のサイトでは様々な行政毎のデータをランキング形式で見ることができます。
水道・下水道料金の比較もできますよ。
▶ みんなでつくる地域・生活情報サイト「生活ガイド」|行政ランキング
以下は使い方です。
- 「行政項目」ポップアップメニューから「水道料金」または「下水道料金」を選択
- 「エリア」ポップアップメニューからお住いの地域を選択
- 検索ボタンを押す
年間降水量や平均気温なども比較できるので非常に便利なサイトですよ。
意外と見落としがちな部分ですが、浄化槽の設置が義務付けられている地域は下水道料金がかかりません。
下水道が整備されていない地域は浄化槽を設置する必要があります。
浄化槽とは、家から出た汚水や雑排水を敷地内で浄化して側溝等に排水するための設備です。
設置するには浄化槽設置工事費がかかりますが、多くの自治体で補助金が出ます。
補助金額は地域によって違いますが、浄化槽本体の金額をまかなえるだけの補助金が出るところもあります。
浄化槽の補助金額は各市町村のホームページでチェックすることができます。
ただし、毎年決められた予算がなくなった時点で補助金は出なくなるので注意が必要ですね。
住宅会社には浄化槽補助金の残り枠の速報が水道業者から届きますので、浄化槽地域に家を建てることが決まった場合は早めに住宅会社に相談しましょう。
固定資産税・都市計画税は土地の評価額によって変わる
固定資産税・都市計画税は土地の評価額によって変わります。
固定資産税の評価は役所が行いますので、必ずしも土地の価格どおりの評価にはなりません。
固定資産税評価額は一般的に価格の7割程度と言われています。
家の面積が200㎡以下の場合は土地の評価額×1/6が課税標準になります。
税額は基本的に1.4%です。
土地の評価額が2000万円だった場合の計算例
20,000,000円×1/6×0.014=46,667円
固定資産税・都市計画税は毎年1月1日時点の不動産の所有者に、4月1日以降に納税通知書が届きます。
支払い方法は一括払いまたは四期払い(3ヶ月に一度)を選択することになります。
子育て支援事業等は地域によって違う
市町村によって子育て支援などの住民へのサービスは違います。
これから住む自治体のサービス内容が、ご自分の家族状況に合っているかどうか確認しておいたほうがよいです。
- 子育て支援の内容
- 高齢者への支援内容
- レジャーの充実度
- 災害への対応
上記の項目は役所のホームページである程度判断できます。
また、役所には何かと用事があって頻繁に行くと思うので、実際に行って役所の雰囲気なども見ておくと良いですよ。
上記のいずれも、生活と密接していますから、家を建てたらずっとその場所で支払ったり利用したりしていくものです。
できる限り家を建ててからの生活を意識して、比較検討することをおすすめします。
土地選びの条件「周辺環境」
周辺環境とは、家の周囲の建物・施設の状況や自然環境のことをいいます。
生活に良い影響のない施設(工場・パチンコ店・風俗店など)はないか、荒れた野山やジメジメして不衛生な川などが無いかチェックすることは最低限必要です。
特に子育て中の方やこれから子育てをする方などは優先順位が高くなると思います。
また、家の前の道路の交通量も考えておいたほうが良いです。
子供は家から走って出掛けることがありますから、できるだけ交通量は少ない方が良いですよね。
道幅が狭い道路でも、朝夕は意外と交通量が多いこともありますから、土地選びの際には必ず朝夕の交通量をチェックしてくださいね。
土地探しをする前に「こういう周辺環境の場所で暮らしたい」というイメージを持っておくと良いですよ。
土地選びの条件「交通アクセス」
首都圏や大都市近郊では電車などの公共交通機関を利用することが多いですよね。
その場合、駅までの徒歩・自転車等による所要時間が重要になります。
一方、大都市ではない地方ではマイカーによる移動がメインになりますから、駅へのアクセスではなく勤務先やスーパー等への車での所要時間を優先するケースが多いです。
毎日の生活の中で、交通アクセスの良さは住む場所の満足度に大きく影響します。
土地選びの条件「接道条件」
接道条件とは、土地が道路に接する方角や接する長さ、接する道路の幅のことです。
一般的に人気なのは、土地の南側が道路と接する土地です。
同じ地域の土地でも、南側が道路に接する土地とそれ以外の土地では価格が違います。
何故かと言うと、南側に道路があると、土地の南側に駐車スペース等がきますから日当たりを確保しやすいのです。
しかし土地の間口が狭くなりがちな都市部では、1階の南側に玄関を配置すると残りのスペースが狭くなってしまってあまり使えないというデメリットもあります。
間口が狭い場合はむしろ北側が道路に接している土地の方が敷地の有効利用ができそうです。
東側・西側が道路に接している土地は注意が必要ですよ。
朝日・西日の影響を受けやすいからです。
西日が壁に垂直に長い時間当たる土地は、夏場の冷房負荷が大きく、家が熱を持ってしまって夜中も寝苦しい家になってしまう可能性があります。
早い時間から朝日が当たる土地は、冬場に朝日が玄関ドアに当たると、ドアが変形して鍵がかかりにくくなることがあります。
ひどい場合には開閉がしにくくなるケースも。
対策としては玄関の前に日除けフェンスを設置したり、ドアの色を白にするなどの方法があります。
狙い目は北側が道路に接した土地です。
玄関が北側に面するため、それ以外の居室を南側に配置できますので意外と間取りを作りやすいのです。
土地の価格も安い傾向があります。
不動産屋さんは土地探しの際に、接道方向をかなり重要な条件として聞いてくると思いますが、接道方向以外の周辺環境の方を優先したほうが良いですよ。
日当たりに関しては建物の間取りや高さ設定で改善できることが多いです。
土地選びの条件「自治会(町内会)」
生活していく中で、自治会(町内会)の存在は無視できません。
アパートやマンション等の集合住宅であれば、地域住民との交流はあまり意識しなくても良いですが、一戸建ての住宅に住む場合は地域との交流が非常に深くなります。
災害の際に助け合ったりすることもあるかもしれませんし、ある程度その土地の風習に配慮して生活する必要が出てきますね。
これから住む地域の自治会の雰囲気がどんなものかを調べるには、実際にその近くに住んでいる人に聞くのが早いですよ。
親戚や友人知人がその近くに住んでいれば聞きやすくてラッキーですね。
誰も知っている人がいない場合は、その地域の組長(班長)さんを探して聞いてみると良いです。
「この地域に引っ越しを検討している者です」と言えば話を聞いてくれると思いますよ。
その際、組長(班長)になった場合の忙しさや、参加必須のイベントがどのくらいのペースであるかなどをチェックすると良いですね。
不動産屋さんは色んな事情を知っている場合が多いですので、検討している土地の近くにある不動産屋さんに尋ねるのも良いです。
土地選びの条件「子供の学区(小・中学校)」
子供の通う学校の学区を土地選びの条件にされる方も多いです。
特に、既に小学校に通っているお子さんのいる方は、「子供が転校するのがかわいそう」という理由から学区を最優先に土地を選ぶ方が多いですね。
これから小学校にあがるお子さんのいる方でも、小学校の評判をチェックして、子供を通わせたい小学校の学区を優先するケースもあります。
確かに、せっかくできた友達と離れ離れになってしまうのはかわいそうです。
しかし、転校=悪かといえばそうでもありません。
アート引越センターの調査研究機関・「the0123引越文化研究所」の行った転校生に関する意識調査によると、転校前には「クラスメートと別れるのが寂しい」と感じていながらも、転校後には大半の方が転校を前向きに捉えていることが分かります。
参考
▶ アート引越センターのホームーページ|転校生意識調査
このことから、土地探しにおいて学区は希望条件としながらも、必ずしも絶対条件としなくても良いのではないかと思います。
土地選びの条件「価格」
土地の価格は、家づくりに掛けられる資金の総額とのバランスを考えて決める必要があります。
希望地域の相場を把握し入念に資金計画をして、土地の希望価格を決めましょう。
そのうえで、予算内で購入できる土地を探すという流れをおすすめしています。
資金計画が後手に回らないようにすることが大切ですよ。
相場は、土地の近隣の取引事例から判断できるので、チェックした土地の価格をメモしておくと良いでしょう。
インターネット上に出回っている売り土地情報の「価格」も参考になりますが、実際に取引された金額はそれよりも安い事が多いです。
後述する「購入の意思表示・価格交渉の方法」が参考になりますので、読んでみてください。
▶ 2.6 土地購入の流れ 6.購入の意思表示・価格交渉の方法
土地選びの条件「建築条件無し」
「建築条件付き」の土地とは、家を施工する会社が決まっている土地のことです。
当然「建築条件無し」の土地は、家を施工する会社が決まっていない土地です。
家を建てるための土地選びですから、自分の希望にあった家を建てたいですよね。
家のあらゆる部分を納得行くかたちで完成させるためには、住宅会社も自分が納得行く会社を選んだほうが良いです。
土地の売り主がハウスメーカーの場合は、建築条件を外すのは困難ですが、売り主が不動産業者の場合は交渉によって建築条件を外すことができる可能性があります。
ただし、建築条件を外す場合は値引きはできない可能性が高いです。
理由は、建築条件付きの土地の価格は、家の建築による利益を見込んだ価格設定になっているため、建築条件が外れた場合には想定していた利益を得られないからです。
そのため、建築条件を外すには価格が上乗せになるケースもあります。
可能であれば最初から建築条件無しの土地を選ぶ方が良いですが、建築条件を外すことによる土地の価格アップがある場合には資金計画を見直す必要がありますので注意しましょう。
土地選びの条件「資産価値」
不動産(土地・建物)を買って10年間住んだ後、別の場所に移住する場合もあると思います。
その際、今所有している不動産をどうするか考えなくてはなりませんよね。
- 売る
- 貸す
- 信託する
といったケースです。
またその家に戻ってくる可能性が高ければ「貸す」という選択がありますが、ここでは「売る」場合について考えてみたいと思います。
購入して10年では住宅ローンの残債がある可能性が高いですね。
そうした時に、売却したお金で残債を支払いきれるかどうか問題になります。
現在の日本では、一般的に家の価値は築年数に応じてどんどん下がっていきます。
住宅ローンの多くは序盤の元金の減りが遅いので、築10年前後の場合は家の査定額よりも残債の方が多くなることがあります。
一方、土地は居住している年月よりも市場価値に影響されるので、所在地の土地相場や接道条件等が重要になってきます。
そのため、将来的に売る可能性を考慮する場合はできるだけ価値が下がらない土地を選ぶことが大切になってきます。
不動産業者による土地の査定に影響するのは以下の点です。
- 土地の形(長方形に近い形が有利)
- 接道条件(南側接道距離が長い土地が有利)
- 周辺の道路状況(すっきりした区画が有利)
- 道路との高低差(同じか少し高い土地が有利)
- 周辺有害施設の有無
- 高圧線の有無
これらに加えて、上記では判定できない「特殊事情補正」項目と、価格相場を考慮するための「流通性補正」が加えられて査定されます。
- 特殊事情補正
「特殊事情補正」は、例えば救急車等の緊急車両が侵入しにくい場所にある場合や、学校への通学等に支障があるような環境がある場合に補正される項目です。 - 流通製補正」
「流通生補正」は、上記の項目による査定結果が現在の当該地域の相場と合わない場合に補正される項目です。
毎年多くの中小企業や事業者が倒産・廃業している現在の日本の社会情勢は、安定しているとは言えません。
自身の努めている会社が未来永劫安泰である方は少ないですよね。
家を建てることは大きな目標です。
しかし「その後」についてもよく検討することをおすすめします。
将来的な運用まで意識することができると良いですね。
土地購入の流れ
- 1 注文住宅の土地探し方法
- 2 土地購入の流れ
気に入った土地が見つかった場合にはその不動産業者に購入手続きを依頼することになります。
不動産業者に土地を探しを依頼して購入する流れは以下のとおりです。
- 資金計画をする
- 希望条件の優先順位を整理する
- 不動産業者に土地探しの依頼をする
- 比較検討
- 気に入った土地を見に行く
- 購入の意思表示・価格交渉の方法
- 住宅ローン事前審査
- 契約日・決済日(支払い)打ち合わせ
- 重要事項説明・売買契約
- 残金決済(支払い)
土地購入の流れ 1.資金計画
効率の良い土地探しをするには、土地を探す前に資金計画をすることをおすすめします。
資金計画の方法は以下の記事を参考にしてください。
▶ 注文住宅の予算オーバーとならない資金計画の立て方!土地から探す場合も
土地購入の流れ 2.希望条件の優先順位を整理する
資金計画がある程度できたら、この記事の前半で説明しているように土地を探すための条件を整理して、優先順位を決めます。
土地購入の流れ 3.不動産業者に土地探しを依頼する
資金計画・希望条件を不動産業者に伝えて、土地探しの依頼をします。
その際、媒介契約書を交わします。
媒介契約書は土地を探すための契約で本来は必要なんですが、省略されることが多いです。
不動産業者は、自社の取扱い物件以外にも、他の不動産業者の取扱い物件を紹介することができます。
それに加えて、一般の方が利用できる不動産情報ポータルサイト以外にも、不動産業者だけが利用できる不動産情報ネットワーク(レインズ)が利用できます。
また、市場にまだ出回っていない新しい土地の情報も持っていることがあります。
不動産業者には常に、これから土地を売りたい人が相談をしているからです。
なので不動産業者は一般の方がインターネット等で自分で探すよりも非常に多くの情報を集めることができるのです。
土地購入の流れ 4.土地の比較検討
不動産業者に集めてもらった土地の物件情報を見て、自分の希望にあった土地をピックアップします。
希望条件の全てに合致した土地は中々無いものです。
どの条件を妥協できるかを考えながら、希望に近い土地をいくつか選びます。
集めてもらった土地の物件情報の中に、希望と大きく違うものしか無い場合は再度情報収集をお願いするか、他の不動産業者に行って土地探しの依頼をします。
土地の物件資料の見方
物件情報は以下の画像のようなフォーマットになっていることが多いです。
右側の一覧表には売土地の概要が載っています。
左側には地図や測量図、現地の画像等が載っていることが多いですね。
一覧表の各項目について説明します。
物件情報の見方「所在地」
土地のある住所や地番です。
地番とは、登記事項証明書に記載されている住所だと思ってください。
地番は住民票や免許証などの住所とは違うことがあります。
物件情報の見方「価格」
土地の価格です。
実際にはこの価格から値引きされることが多いです。
価格については「購入の意思表示・価格交渉の方法」で詳しく説明しています。
▶ 2.6 土地購入の流れ 6.購入の意思表示・価格交渉の方法
物件情報の見方「土地面積」
土地の面積には、
- 公簿面積
公簿面積とは登記事項証明書に記載されている面積です。 - 実測面積
実測面積とは土地を巻き尺などで測って出した面積です。
があります。
当該土地の登記情報が古いと、実際に測ってみると面積(公簿面積)が大きく違う場合があります。
その場合は実測面積を元に価格が決められる事が多いです。
面積の単位は㎡と、坪の両方で表記されていることが多いです。
㎡と坪について簡単に説明します。
- ㎡(平方メートル=平米)
㎡はメートル法の面積の表示方法です。 - 坪(つぼ)
坪は尺貫法の面積の表示方法です。
尺貫法は建築の現場で一般的に使われる単位系で、主に長さと面積において使われています。
長さの単位は
- 尺(しゃく)
- 寸(すん)
- 部(ぶ)
で表します。
尺貫法とメートル法との比較は以下の通りです。
1尺=303mm
1寸=30.3mm
1部=3.03mm
1間=6尺=1818mm
1坪=1間×1間=1.818m×1.818m=3.3051㎡
1㎡=0.3025坪
物件情報の見方「接道状況」
接道状況とは土地と接する道路の情報が記載されます。
記載されるのは以下の内容です。
- 方角
- 道路幅
- 種別(公道・私道)
- 接する長さ
例)東側6m幅員の公道に22m接する
物件情報の見方「用途地域」
用途地域とは、法律(都市計画法・建築基準法)で決められた用途制限に応じて別けられた地域のことです。
用途地域には以下の12地域があります。
- 第一種低層住居専用地域
- 第二種低層住居専用地域
- 第一種中高層住居専用地域
- 第二種中高層住居専用地域
- 第一種住居地域
- 第二種住居地域
- 準住居地域
- 近隣商業地域
- 商業地域
- 準工業地域
- 工業地域
- 工業専用地域
上記の用途地域それぞれに、建てて良い建物の種類・建ててはいけない建物の種類が定められています。
また、上記の用途地域の指定のない地域もあります。
物件情報の見方「建ぺい率」
建ぺい率とは、土地の面積に対する建物の建築面積の割合の上限値です。
景観や居住性が悪くならないように、建物の規模が大きくなりすぎないための規制ですね。
なお、「建築面積」とは建物を真上から見た投影面積のことです。
1階部分の面積だと考えて良いです。
交差点に接する「角地」や建てる建物の構造により緩和されることもあります。
通常は土地情報に緩和後の建ぺい率が記載されます。
例)建ぺい率:60%の場合
300㎡(90.75坪)の土地に、建築面積180㎡(54.34坪)までの建物が建てられます。
物件情報の見方「容積率」
容積率とは、土地の面積に対する建物の延べ面積の割合の上限値です。
容積率には「指定容積率」と「前面道路による容積率」の2種類があります。
土地が接している道路の幅が12m未満である場合、道路幅に0.4(用途地域が住居系の地域)または0.6(用途地域が商業・工業系の地域)を掛けた数値を計算します。
計算して出た数値と指定容積率のより小さい(厳しい)方が、その土地の容積率の上限となります。
不動産業者の担当によってはこのことを知らないケースがあるので、もし容積率ギリギリの家を建てようとする場合は注意しましょう。
物件情報の見方「取引様態」
取引様態とは、不動産業者の当該土地の取引における立場のことです。
取引様態には
- 仲介
- 売り主
- 代理
があります。
取引様態 仲介
仲介は売り主(土地の所有者)と買い主(土地を買いたい人)の間に入って取引がスムーズに進むようにサポートする仕事です。
媒介ともいいます。
取引様態が「仲介」あるいは「媒介」となっている土地を買う際は、不動産仲介手数料がかかります。
不動産仲介手数料については後ほど説明しますね。
取引様態 売り主
取引様態が「売り主」となっている場合は、土地の所有者が不動産業者です。
この場合は不動産仲介手数料はかかりません。
物件情報の見方「地目」
地目とは、登記上の土地の種類のことです。
一般的に土地の購入に関係する地目には以下のものがあります。
- 宅地
- 田
- 畑
- 山林
- 原野
- 雑種地
宅地以外の土地に建物を建てた時には、地目を宅地に変更する必要があります。
物件情報の見方「現況」
現況とは、現在の土地の状況のことで、以下のようなものがあります。
- 更地
- 古屋付き
- 畑
- 田
- 居住中
- 駐車場
現在その土地がどうなっているかは要確認ですね。
物件情報の見方「備考欄」
備考欄には上記で表示できない詳細情報が書かれています。
上の「現況」が「古屋付き」の場合は、解体更地渡しなのか現況渡しなのか、などが書かれます。
現況が畑や田の場合は、農地法5条許可(農地転用)が必要と書かれます。
また、用途地域以外の地域地区が指定されている場合も備考欄に書かれることもあります。
ここまで物件情報の見方を説明してきました。
物件情報には土地の詳細情報の全てを掲載することはできないので、取引に必要な全ての詳細情報は「重要事項説明書」を確認する必要があります。
土地購入の流れ 5.気に入った土地を見に行く
気に入った土地の物件情報があれば、実際に見に行きましょう。
地域や土地の形等によっては間取りやデザインに影響する制限がある場合があります。
早めに重要な制限等を知るために、土地を見に行く際に家を建ててもらう住宅会社の担当者と同行することをおすすめします。
また土地を見に行く際は、その場所に家を建てて生活している自分や家族を想像して、良いところと悪いところをメモするようにしてください。
写真も撮りましょう。
自宅でメモと写真・物件情報・地図などを見ながら、比較検討し購入する土地を決めます。
「これだ!」、という土地が見つからなければもう一度探してもらうよう依頼します。
何度依頼しても構いません。
納得行く土地が見つかるまで根気よく探しましょう。
土地購入の流れ 6.購入の意思表示・価格交渉の方法
購入する土地を決めたらすぐに不動産業者に購入の意思表示をします。
あなたが「これだ!」と感じた土地は、他の人にとっても良い土地である可能性が高いです。
「土地なんてそんなにすぐ売れないだろう」と思っていると、先を越されてしまうことがあります。
土地を探している人は想像している以上に大勢いますので、購入意思は素早く伝えたほうが良いですよ。
購入の意思表示をするには「買付証明書」という書類に
- 購入する土地の地番
- 氏名
- 連絡先
- 希望価格
- 契約の予定日(時期)
- 残金決済の予定日(時期)
を記入して印鑑を押します。
そうすることで不動産業者は他の人の購入申込が入っても、キャンセル待ちとしてくれます。
買付証明書に記入した希望価格等の条件を売り主が承諾することによって、契約準備が開始されます。
土地購入における価格交渉の方法
基本的な価格交渉の方法を説明します。
不動産業者は、買い主と売り主の間で双方の希望金額を調整します。
基本的には、買い主には実際に決まりそうな価格よりも高い金額を想定させ、売り主には低めの金額を想定させます。
そうすることで、結果的に買い主・売り主双方にとって想定よりも希望に近い金額となるように導くのです。
例)表示価格が2000万円の土地の場合
- 不動産業者→買い主「安くなったとしても1950万円くらいが限界だと考えていてください」
- 不動産業者→売り主「1850万円くらいまでは下げられるように考えていてください」
- 売買価格=1900万円となり、双方が納得
以上を考慮して、希望購入価格よりも若干安い金額を不動産業者に伝え、買付証明書に記入することで、より安い価格で土地が購入できる可能性が高まります。
買付証明書を提出し、売り主からの売却の承諾があった後で、万が一キャンセルしたい場合は速やかにキャンセルの意思を不動産業者に伝えるようにしてください。
一般的に、契約は買い主と売り主の希望金額が合致した時点でほぼ成立していると考えられています。
買付証明書を提出してから長時間経過すると、契約書を交わしていなくても売り主が取引に向けての準備を始めてしまうことがあります。
その時点でキャンセルとなった場合、準備にかかった経費等を損害賠償請求されてしまうかもしれません。
購入の意思表示(買付証明書)には法的な拘束力はありませんが、慎重におこなってくださいね。
「急ぐ必要があるけど慎重に」という、難しい判断が必要になってきます。
土地購入の流れ 7.住宅ローン事前審査
土地を押さえたら、住宅ローンの事前審査を受けましょう。
この時点で家を建ててもらう住宅会社を決めておくと良いです。
住宅ローンの事前審査には
- 事前審査申込書
- 源泉徴収票
- 運転免許証
- 個人情報の仕様に関する同意書
- 家の図面(平面図・立面図・配置図)
が必要です。
詳しくはこちらの記事に記載しています。
▶ 注文住宅の住宅ローンのタイミングや流れは?おすすめ住宅ローンも
住宅会社が決定していない場合は、決定次第すぐに住宅ローン事前審査を受けるようにしてください。
事前審査承認後の流れは金融機関によって異なるので、住宅ローンを利用する金融機関にご確認ください。
土地購入の流れ 8.重要事項説明・売買契約
土地の重要事項説明・売買契約は一般的に不動産業者の事務所で行います。
土地の契約前に重要事項説明書の読み合わせを行います。
重要事項説明書には、物件情報に記載できない事を含め様々な事項が書かれています。
その項目を一つ一つ不動産業者の宅地建物取引士が説明をしますので、必ず全て理解するようにしてください。
分からないところは質問するようにしましょう。
重要事項説明書には建築基準法等の制限について書かれている項目が多いので、住宅会社の担当者に同席してもらうことをおすすめします。
もしその時点でまだ住宅会社が決定していない場合は、できるだけ重要事項説明を契約の前日以前にしてもらう方が良いですね。
説明を受けている時は気にならなかった疑問点に気づくことがあるので、契約まである程度の期間がある方が安心です。
重要事項説明のあと、売買契約を行います。
売買契約の際には、契約の内容を表示する文書(売買契約書)を二部作って契約者双方が記名押印して一部ずつ所有します。
手付金の支払いが必要な場合は契約時に持参しましょう。
手付金の金額は一般的に100万円であることが多いです。
手付金は売買代金の一部に充当されます。
もし、契約後に買うのをやめる場合は手付金を放棄しなければなりません。
売り主が所有権移転に向けて多くの資料を集めたり、登記等について司法書士に相談したりする労力や費用がかかるためです。
逆に、契約後に売り主が売るのをやめる場合は、手付金の倍額を買い主に返す必要があります。
買い主がその土地が手に入ることを想定して進めていた家の設計や住宅ローン手続きがやり直しになるため、余分な時間や労力・お金がかかるためです。
契約書や重要事項説明書に押す印鑑は認印でもOKですが、重要な取引ですから実印を押す方が多いです。
因みに、重要事項証明書は宅地建物取引士(国家資格)が記名押印した書面を買い主に交付して、取引士証を提示して説明する必要があります。
契約書(37条書面)にも宅地建物取引士の記名押印が必要ですが、説明は誰がしても構いません。
土地購入の流れ 9.残金決済
土地代金の支払いについて見てみましょう。
一般的に契約時に手付金を支払うため、売買代金の残金を決済するという意味で「残金決済」と言われています。
残金決済は買い主が住宅ローンを利用する金融機関(モーゲージバンク等のフラット35を利用する場合は、取引口座のある金融機関)に
- 売り主
- 買い主
- 不動産業者
- 司法書士
が集まって行います。
所有権移転登記に必要な書類の作成と、住宅ローン(つなぎ融資)の買い主口座への着金、売り主口座への代金の送金をして、所要時間は1時間程度です。
所有権移転登記に必要な書類は司法書士が持ってきてくれます。
当日は印鑑証明や住民票等が必要になります。
必要書類は不動産業者等から事前に案内があるので、前日までにきちんと揃えておくようにしましょう。
不動産仲介手数料について
不動産仲介手数料は仲介物件が成約になった際に発生するお金です。
不動産業者は、売り主(一般の人)に依頼されて買い主を探し、契約に至った際に得られる仲介手数料によって収入を得ています。
仲介物件を扱う不動産業者には、
- 売主側の不動産業者
- 買主側の不動産業者
があります。
両者を兼ねることもあります。
ひとつの不動産業者が売り主と買い主を引き合わせた場合、仲介手数料は売り主・買い主両方からもらうことになります。
これは上記の「売主側」と「買主側」を兼ねているケースです。
この事を業界用語で「両手」といいます。
買い主を別の不動産業者が連れてきた場合には、売り主からのみ仲介手数料をもらいます。
このケースは「片手」といいます。
売り主が売却依頼した土地情報を、別の不動産業者が広告に出していたところに、更に別の不動産業者が買い主を連れてくる場合もあります。
その場合、一般的に買主側の不動産業者は二社で買い主からの仲介手数料を分けることになります。
このケースのことを「分かれ」といいます。
不動産業者の手数料を得るケースまとめ
- 両手=売り主・買い主両方から仲介手数料をもらうケース
- 片手=売り主・買い主いずれかから仲介手数料をもらうケース
- 分かれ=買い主からの仲介手数料を複数の不動産業者で分けるケース
不動産仲介手数料の額は法律(宅地建物取引業法)で上限が定められています。
売買金額×3%+6万円+消費税
ですね。
1,000万円の土地を買った場合、不動産業者に支払う上限額は
1,000万円×3%+6万円+28,800円=388,800円
となります。
以上、今回は注文住宅を建てるための土地探し方法と、土地購入の流れ・価格交渉方法等を紹介致しました。
土地は家を建てるのに無くてはならないものです。
地域によっては建物よりも高額になります。
全体の資金計画において大きなウエートを占める部分ですから、この記事を参考にして納得行く土地探しをしてくださいね。