床暖房は人気の設備
床暖房は注文住宅の設備の中でも特に人気の高い設備です。
足元を温めることで底冷えせず快適。部屋中を暖めやすく温度のムラもなし。ストーブやエアコンと違い、風が発生せず乾燥もしにくいです。
一条工務店では9割の住宅で全室床暖房が採用されています。床から遠赤外線がでる輻射熱のおかげで、家中日だまりの中にいるような心地よさ。
更に一条工務店がすすめているのが、全ての部屋を暖める「全館床暖房」。室内全てをむらなく暖めることで、トイレや風呂場なども暖かく快適に。ヒートショック対策にも有効です。断熱性が高いため、家中を暖めても電気代は抑えることができます。
ほぼ全ての一条工務店の住宅で採用されているため、「皆が採用しているならウチも……」とよく考えずに導入されることの多い床暖房ですが、本当に良いことばかりなのでしょうか?
床暖房のデメリット
意外と乾燥する
床暖房のメリットに、ストーブやエアコンと違って乾燥しないというものがよくあげられていますが、冬場はそれなりに乾燥します。
風がないのは事実ですが、そもそも冬場は外の空気が乾燥しています。乾燥が進むことはなくても、元々の空気が乾燥しているので加湿器は必須です。
暖まるまで時間がかかる
全館床暖房は室内全体を均一に暖めることが可能で、外気温に左右されず快適さが長持ちします。
ただ、その快適な状態になるまでにはかなり時間がかかります。寒い時期に一から暖めるとなると、家中が暖まるまで1週間近くかかることもあります。
一条工務店の床暖房は温水を張り巡らせることで家の中を暖めます。
暖房のスイッチを入れるとまず水が暖められ、次に配管の周囲の土台が暖められます。その後暖められた土台から床材に熱が伝わり、最後にようやく部屋の空気が暖められます。
温水ができるまでは比較的早いのですが、土台から床材、床から部屋の空気に伝わるまではかなり時間が必要です。一度暖房がついてしまえばずっと暖かいのですが、すぐに暖かくなることはありません。
そろそろ暖房なしでは過ごせない、と思ってから暖房をつけるのでは遅すぎるのです。
どうしても部屋を早く暖めたいという場合は、一度設定温度を50度ぐらいまで引き上げて、暖まった後に徐々に温度を下げていくのがおすすめです。
吹き抜けは寒い
開放感のあるリビングになると人気の吹き抜けですが、床暖房だけではなかなか暖かくならず、寒いです。
最近の住宅は断熱性が高いから大丈夫だとか、全館床暖房なら家全体が暖められるから平気であるとかいわれていますが、やはり吹き抜けはいつまでたっても暖かくなりにくいです。
昔に比べれば良くなったのは事実かもしれませんが、吹き抜けの部屋とそうでない部屋を比べると、どうしても吹き抜けは寒くなりやすいです。
吹き抜けの開放感は魅力的ですが、建ててしまう前にもう一度よく考えた方が良いでしょう。
食べ物が痛む
人間にとって快適な温度は、菌にとっても快適です。
冬場は野菜などを廊下のような寒い所で保存している人は多いですが、全館床暖房では家中が暖められてしまいます。家中が暖かいのでダンボールのみかんを家の中においておくのは難しいです。
床が暖かくなるので、食べ物の床置きは当然NG。常温保存OKな食べ物を保存する場合も、床に近い場所で保存するのは避けた方が無難です。
米や缶詰、一部の野菜冷蔵庫に入れない常温保存のものをどのようにストックしておくかは家を建てる前によく考えておく必要があります。できるだけパントリーのような専用スペースを設計の段階で準備しておくようにしましょう。
Wi-Fiが繋がりにくい
床暖房の設備はWi-Fiの電波の通りを悪くします。ルーターの位置によっては繋がらなくなってしまうため、間取りによっては中継機が必要になることもあります。
設定が複雑
一条工務店の床暖房は高性能で、タイマーモードやセーフモードなどいろいろな機能があります。ただ、高機能な一方設定が複雑で、機械類が苦手な人は戸惑ってしまうことも。
必ず引き渡しの際に使い方を営業の人と一緒に確認しておくようにしましょう。
暖まるまで時間がかかるため、必要になってから調べるのでは遅いです。
部屋の床に温度測定用の部品が設置される
全部屋を床暖房にした場合、部屋の隅の床に必ずサーミスタという温度測定用の部品を設置されます。普段は開けることがなく、小さな部品になるため目立つものではありませんが、上に家具などを置くことはできません。
間取りの時点で家具の配置をきちんと決めておかないと、引っ越してから不便な思いをすることになります。
寒さに弱くなる
家中が暖かで快適な空間になれてしまうと、実家に帰ったり友人の家に遊びに行ったりした際の寒い風呂やトイレが辛くなります。
室温が外気温に左右されないため、家の中からでは気温の変化を実感しにくく、出かけるときの服装を決める際にも注意が必要です。